【マジか】運命の狭間と万能アイテム〜スーダン潜入-下-〜
前回
もくじ
夫婦仲が良くなる魔法とハルツームでの謎の再会、運命の狭間
翌日は遂に首都のハルツーム(Khartoum)に到着。カリマからは早朝発の一本のみで150ポンド。
さすがに首都だけあってこんな近代的なモールがありまして、ちょっと安心感を覚えます。でも内部のエスカレーターは作動していないあるある。
中心街から少し離れたナイル河近辺には面白い形の建物が見られる。こちらはホテルのようです。
中心街には両替屋がウジャウジャ。みんなアメリカドルが欲しいようです。エジプトは車のクラクションが半端なくうるさいのですが、スーダンは穏やか。
至る所でこのようにコーヒーの屋台があります。大抵は女性がやっており、丹念に炭で温めお湯を作ります。たっぷりの砂糖と生姜パウダーを盛り付けて。
地方の小さな町に比べるとやはり首都の人間は少し冷たいイメージがあるんですが、こちらもフレンドリーでした。またご馳走してもらっちゃいましたよ。
こちらもよく見かける飲み物。2、3ポンドで飲めて冷たくて甘くて最高に美味しい。
ここで、「くぅぅ〜〜〜ッ!!!まぁじで美味い!もう最ッ高!」とオーバーリアクションを繰り出しましょう。彼ら喜んでくれてきっとタダで注ぎ足してくれます。
オーバーリアクションと書きましたが、僕にとっては普通のリアクションでして、もう一杯タダでもらおうという下心ではなく、単純に喜びを伝えたいんですよ。相手も嬉しいでしょ、そう言ってもらえると。僕は料理もする側で提供もしますけど、おいしいって言ってくれるとやっぱ凄く嬉しいんですよ。
いま夫婦生活がうまくいってない方々、旦那さん、これ基本ですよ。美味しいものは美味しいと口に出すんですよ、ありがとうって。それでお互いハッピーになれるんですから。ちょっと不味くても、そこは堪えていつもありがとうねって言いましょうよ。
高橋ジョージさん、見てます?あなたこれが足りなかったのもあるんじゃないですか?三船さんの料理、おいしいって伝えてましたか?それはいいとして、早く僕のブログをツイッターで紹介してくださいよ。
あれ?よく分からない飲み物から、これほどまでに話が逸れていくブログも珍しいですよね。
(なんか微笑ましい)
ハルツームで泊まった宿は、おそらくバックパッカーの90%は泊まるであろうユースホステル。エアコン無しドミで60ポンド(約360円)、有りで70ポンドでした。キッチン付きの不安定ですがWiFiもあります。
ここで思わぬ再会。あのアスワンで出会って、バスは違えど同じ日にスーダンへ向かった中国人3人のバックパッカー、のうちの2人でした。
僕と同じ日の今朝に着いたばっかりとのこと。
あれ?おかしいですよ、彼らはアスワンから直接ここハルツーム行きのバスに乗ったのだから。僕は刻み刻みでやっと辿り着いたというのに。
なぜなのかを尋ねると、神妙な面持ちで、でも苦笑いを含めながら一人の男性は服を脱いで、説明し始めます。
その男性の身体には複数のアザが。
なんと、彼らが乗ったバスは出発から4時間後、アブ・シンベル付近で横転事故を起こしたとのことです。
幸い死者は出なかったそうですが、顔から血を流す人もいたりで殺伐とした事態だったそうです。
もう一人の中国人女性もなんとか少しのアザだけで済みましたが、あともう一人の友達は腕を骨折し、中国へ帰ったとのことでした。
全然ひと事では無く、むしろ僕もそのバスに乗ろうとしてましたからね。めんどくせぇから一気にハルツームまで行っちゃうおうか、てな具合で。
彼らはその後すぐにアブ・シンベルの村の病院へ運ばれ、そしてアスワンへ引き返したとのことです。
いやはや、もうなんというか、選ばれた人間が生き残るというか、選ばれた人間が陥るというか。
なんでしょうね、この運命の狭間って。
不幸にも帰国したその女性も、僕と同じくアフリカ縦断に挑む一人でした。いやいや、命があるだけ幸運か。
もう本当に明日は我が身ですよ、途上国のバスって。交通ルールなんて無いようなもんで、過積載もいいとこで、シートベルトも無いし、それでいてガンガンすっ飛ばすし。
不安を覚えながらも、でもドライバーに身を任せるしかない、なるようにしかならないのだ。
世界で一番腐ったバスターミナル
さて、ハルツームで次の国エチオピアビザを無事にゲットし、スーダンは最後の町へと向かいます。
写真は大使館へ行く途中に見た奇抜なモスク。
ところでスーダンという国はこれまた旅人を困らせるのですが、深夜のバスの走行が禁止されており、だから長距離のバスは必ず早朝になってしまうのです。
これから行くカッサラという町へももちろん朝早くでありまして、まだ真っ暗な野良犬の鳴き声が響く誰もいない夜道を行きます。
タクシーも扉を開けたまま眠っているようで、これで起こして不機嫌な感じでボってくるんだろうなと思うと気が引けます。こういう時ですね、複数で旅する人たちが羨ましいのって。
幸いにも一台のトゥクトゥクが通りがかり40ポンド(約240円)で少し離れたミナバリバスターミナルへ。
情報によるとそのバスターミナルの客引きがもの凄いらしく構えていたのですが、本当に凄いです。
そいつらはもうそのターミナルの近くで待機してて、僕が乗ってるトゥクトゥクにまで乗り込んできます。
「どこ行くんだ?カッサラだろ?俺と来い。」って感じですね。
こういう奴に付いて行けば基本的にボラれるかチケット代行とかで上乗せで請求されるのがオチ。
そのバスターミナルは入場料が必要なのですが、もちろん客引きどもは払いません。
情報によると2ポンドだったりするのですが、みんな5ポンド(約30円)払ってました。
ターミナル内は乗客並みの客引きの数。もっと良い仕事は無いのだろうか。
<近付いたらぶっ潰す>持ち前の殺気と覇気で客引きを次々と撃退しますが、また新しい奴が来てキリがない。更にはコイツは俺のカモだろと言わんばかりに客引き同士で喧嘩が始まります。言っちゃ悪いけど低能過ぎる。
なんとか自力でチケットブースへ行きますが、言い値は250ポンド(約1,500円)。
情報では150〜180だったんで交渉するも220以下にはならず、引き返してバスの運ちゃんに直接聞いて正規の値段を確認すると、200ポンドだそう。しかもその運ちゃんが僕のためにチケットを買って来てくれる親切さ。
しかし荷物を預ける際には、スタッフがその荷物に直接マジックで書いちゃうという暴挙。
これ日本だったら損害賠償レベルですよね?
・・・くッ、僕のお気に入りの2,000円のバックパックがぁッ!やっす!精神的ダメージ限りなくゼロ。むしろアラビア語のクールなロゴマークが付いて愛着湧く。
てかこれって「カッサラ」って書いてあるんですよね?「チャイナ」って書かれてたら殴りに行きますよ?可能性あって怖いわ。
そして思ったんですが、まだ1年も経っていない情報でもほとんどそれよりも高い値段になっていて、主にバスの運賃ですね、ガンガン値上げをしているようです。ボッているのではなく、純粋に値上げなのでしょう。
スーダンポンドは肯定レートではなく裏レートで成り立っており、エジプトポンドとほぼ同じレート換算。エジプトポンドがつい最近ドル換算なんちゃらになり、今現在は物価が猛烈に安いですが、これからドンドン値上げに踏み切るとのことなんで同じレートのスーダンも一緒に上がっていくのだと予想します。
そんなこんなで、バスに乗るだけなのに疲れちゃった。このミナバリバスターミナル、世界でもトップクラス圏内に入ってきそうなくらい腐ってる。チケットブースの人も客引きと仲良くしてるんでグルなんでしょう。バスの運ちゃんか優しそうな乗客に助けてもらうのが良いですよ。
人の良いスーダンですが、こういうのは本当に残念な一面。
モンスターな奇岩のあるカッサラ
およそ8時間でカッサラ(Kassala)へ到着。どうですかここからでもこの迫力!
まるでニョキニョキと生えてきた岩のモンスターのようですね。スーダンで一番楽しみにしていた場所。
がしかし、残念なことに翌日は生憎の曇り空でテンション上がらず。
入り口にはこんな可愛らしいティーポッドの形をした門が立っています。
おそらくコレ。ここカッサラのコーヒーはこのようなポットに入れて飲むのです。
隣にあるのは砂糖入れじゃないですよ?コップです。この砂糖満載のおちょこに注ぎ込み、少し飲んでは注ぎ足してっていうのを繰り返すのです。砂糖は少しづつ溶かして消費していきます。
注ぎ口のツルのようなものは、コーヒーカスや生姜のカスが出てこないように食い止める役目。生姜もより強くなった気がして、ツーーンともの凄くカラいけど、やっぱり心地良い風味で大好きです。
このタカ山という奇岩はスーダン人の恋人の聖地となっているようです。カフェがたくさんあって何だかテーマパークみたい。まだ朝早いので誰もいません。あの岩の頂上まで登れるらしい。
やはり曇ってて写真映えはしないかな。
このタカ山の麓にある市場も楽しくて、とにかく人が良くて気さくに話しかけられます。サンドイッチもコーヒーもご馳走になっちゃいました。
普段は悲壮感を漂わせているロバも、ここでは幸せそう。
カッサラで泊まった宿はBSHAIR HOTEL。小さく英語表記あり。シングルファンで一泊80ポンド(約480円)。
この無造作に置かれた蛍光灯には特に意味は無いようです。至ってシンプルな部屋ですが、
神様の椅子が付いててお得です。絶対座りたくない。
ホテルはこの他にもたくさんありまして、バス乗り場から一番近いカッサラホテルはドミで30ポンドからありました。外人向けの綺麗なホテルもあります。
僕がこの宿にしたのは、スタッフの感じが良く、それに、
屋上からはこの眺めです。ここで冷たいスプライトを飲みながら涼しくなった風に当たってこれからの旅に思いを馳せましたよ。この景色を見れただけでも来て良かった。基本的にどこのホテルでもこのタカ山を眺められるように作られているっぽい。
当初はここカッサラに2泊してから、一日でエチオピアへ入りゴンダールという町まで行こうと考えていたのですが、どうやらこの行程はタイトなスケジュールらしく、エチオピアの国境からゴンダールへ行くバスの最終便が15時くらいとのこと。
バスは人が集まらないと出発しなかったり何かのトラブルでそれまでに間に合わなければ、メテマという国境の町の宿に泊まることとなるようだ。しかしその町の宿はすべて最悪に汚く、噛まれると猛烈なかゆみが何ヶ月も続くと言われる害虫がほぼ100%住み着いていると言われ、涙が止まらない宿だそうです。
それはそれでムッチャ興味がある町ですが、とりあえず焦る移動ほどつまらないものは無いし、ちょうど天気も良くないカッサラなんで少しでも進んでおくことにしたのです。
スーダン人の奇跡の必須アイテムと国境越え
カッサラのバスターミナルがまた客引きと物乞いだらけでグチャグチャ。ゲダレフまで90ポンド。
しかし客で満席なのに出発する気配が無く、よく分からない待ち時間が30分続いた挙句に違うバスにチェンジさせられる。どうやら故障したらしい。
からの、2時間ほど走って再び故障でまたバスチェンジ。当然そのバスには既に乗客がいるので乗車率は150%くらいになるわけです。良い席に座れてたのに次は通路ですよ。
もうこの時点で1日でゴンダールへ行くのは絶望的でしたね、良かった。南へ、エチオピアに近づくにつれ砂漠地帯からドンドン緑が増えてきます。
結局5時間以上かかって到着し、テキトーに目に入ったAMIR HOTELへ。
ファンツインで言い値100ポンド(約600円)で頑なに値引きを断るオーナーでしたが猿芝居で90ポンドに。
スーダンで泊まった中では何気に一番高い宿です。なのにベッドは綺麗ですが、水回りがクソ。
「ぶわっはっはっはっはーーーッ!!!」
水道は無く、すべてはトイレにある汚っぽい貯水塔からバケツに溜め込んで使います。
シャワーって無いの?バケツでピチャピチャやんの?
ってオーナーに聞いたら、なぜか大笑いされ、あれ?シャワーあんのかな?と思いきや、ヌポっとゴミ箱から空のペットボトルを取り出し、ハサミで手際良く3分の1を切り落とし渡されたのがコレ。
いやお前の笑いのツボがさっぱり分かんねぇが?
これ渡される際に、カットしたペットボトルも持ってないのかキミは〜、的な感じで言われましたよ。
持たねぇよ。用途はここで水浴びるくらいだろ?
翌日はのんびりと準備しエチオピアとの国境の町ガラバット(Gallabat)へミニバンで37ポンド。
走り出してすぐに検問がありました。荷物を軽くチェックされたのですが、一人の青年のポケットの膨らみが気になったらしく、そこから彼が引っ張り出した物がスタイリングジェルで吹きました。
彼、手ぶらなんですよ。でもポケットにスタイリングジェルって謎過ぎるでしょ。逆に連行されても仕方ないよ。
難なく再出発し爆走して行く姿に時間的に余裕も生まれ、これから始まるエチオピアの旅に思いを馳せます。が、やっぱりそう簡単には行かせてくれません。
無事にガス欠です。
タンクを抱えたドライバーは対向車をヒッチハイクしてガソリンを取りに消えました。
あぁ、やっぱり一日でゴンダールは完全不可能だったな。
やっぱり時間に余裕がある分、素直にトラブルを楽しめる。焦ってたらただイライラしてただけ。気長に他の乗客とお喋りしながら待ちます。
あの山々はもう、エチオピア。ご覧の通り、砂しかなかったスーダンですが、この青々とした草たち。やはり緑はヒーリング効果がありますね。両脇には遠くでひまわり畑がキラキラしています。
30分ほどでドライバーが戻って来ました。気をつけてくださいよもぉ。
まぁエンジントラブルじゃなくて良かったです。でも、あれ?
ペットボトルきたこれ。
{{ カットしたペットボトルも持ってないのかキミは〜 }}
スーダン人にとってはカットボトルはマストアイテムのようです。
てかオッチャン、ガス欠した場所から進行方向に3キロくらいでガソスタあったやん。
さてはアンタ、試用期間中の新入社員だな?
なんだかんだ昼過ぎに国境へ到着。フレンドリーな人たちもいますが、やはりよく分からない私服の謎の案内人が現れるってもんです。
「エチオピアへ行くんだろ?まずはポリスチェックを受けろ、こっちへ来い。」
シカト。
テキトーに国境方面へ歩きイミグレへ入り色々手続きをしてもらって呆気なくスーダンを出国。ちなみにやはり外人登録証はしっかり見られました。ポリスチェックは必要なく。
1週間の滞在でしたが、なかなか面白い経験をさせてくれたスーダン。割りと印象に残る国となりました、人々の優しい笑顔は僕の心に深く刻まれていますよ〜!
お次はインドやモロッコ、エジプトの世界三大ウザい国をも凌ぐほどに、世界一ひとを怒らす国として名高い、人類発祥の地、エチオピア。
どんなイベントが待ち構えているのだろうか。
うむ、匂うぞ、苦戦の予感が。
次回