Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険コメディロマン

ケツの穴で?死亡レベルの仕事を得た日。~オーストラリアの農業~

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前回の【旅、その後】編の記事で書いた四万十の農業の仕事に続き、今回はオーストラリアの農業、ファームジョブの生活について振り返ってみましょう。

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2013年10月〜

ケアンズ(Cairns)から大陸一周の旅を始めて1ヶ月あまり。これが初の海外ひとり旅、そりゃ目に付くものすべてが物珍しくて、常に好奇心のアンテナがビンビン。

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こういう何気ない日常風景を見つけるだけでも超楽しかった頃。

この時はまだガイドブックを片手にしていたけど、それに載っていないぜんっぜん観光地じゃない場所へも気になったらバンバン行っていた。

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その中の一つ、エア(Ayr)という、やはり観光のカの字もない場所に僕はいた。なぜここへ立ち寄ったのか、それは、エアという町の名前が面白かったから。←どこが?ってね。だって空気みたいな町なんかなと思って。

でも、あれ?

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そもそもつづりも違うわ。

ちなみに上の地図の左にあるマウント・サプライズって、町の名前ですよ?ホントにオーストラリアのネーミングって面白いというかテキトーというか。どんなサプライズがあんのか気になっちゃう。タスマニアには、ペンギンって名前の町もあります。テキトーってか、他に思い付かなかったのかな、妥協案?つまりやっぱりテキトーでしょ?

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つづり的に空気の町でもないし、旅を終えた今からすると、わざわざよく行ったなぁってレベルの本当に何も無い町。

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でもこの噴水すげぇ。これライトアップじゃなくて、ガチでピンクの水が噴き出てるでしょ。何も知らずにデートの待ち合わせで白い服でここに待機してたら悲惨ですよ。

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少し町を外れるとこう。動物園かよってね。

 

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結局のところ何も無いかどうかって、自分のこころ次第じゃないですか。「あそこは何も無いよ。」って誰かに言われたとしても、それはアナタにとってはね、って事だけ。僕が愛してやまない大陸の果ても、そこに何があるかって聞かれたら、ロマンって答えるし。

当時は、こんな可愛らしい時計台もあるじゃん楽しい〜。ってな具合で海外に対する感性は非常にフレッシュであった。

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(なにここ西成あいりん地区?)

そんなエアという名の空気ではなかった町に2泊。の予定が、3週間もの滞在になったのは偶然か必然か。?

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(新宿中央公園のホームレスさんたちこれ?)

泊まったのはこちら、そうですドヤ街なんです、って違う違う。キャラバンパークという、日本で言うとこのキャンプ場。

この時はまだテントで眠るってのが新鮮で楽しくて、だから町を見に来たってよりも、ただただテント泊をしたい欲が強かったんです。基本的にホステルに泊まるよりもかなり安いし、物価の高いオーストラリア旅では強い味方。

それにしてもここ、異様な雰囲気ですよね。完全にホームレスの溜まり場にしか見えない。

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「何しに来たん?」

つたない英語で受付のおばちゃんに2泊したいと伝えると、そのおばちゃん、ポカーンとして、「・・・トゥ・・トゥーナイツ・・??」となにやら、けげんな表情。そして何かを説明してくるものの、この頃の僕の英語力はゴミカスだったんでまったく理解できず。

会話にならないことにお手上げだったようで、そこで彼女が引き連れて来たのはなんと日本人女性。1週間ぶりくらいの日本語での挨拶もそこそこに、バリバリの強烈な関西弁で放たれた言葉が上記だ。


・・・何しにって、いわゆる観光ですけど。

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「・・は?観光?ここファームジョブの町やで。働きに来たんちゃうん?ここで登録しとけばいつかは分からんけど仕事もらえるで。」


そう、エアは農業が盛んで有名な町。そしてこのキャラバンパークでは滞在者に対して農業の仕事も斡旋してくれるのだとか。つまり、皆ここで暮らしここから畑仕事へ向かうのである。

車の旅でなら休息のために立ち寄るかもしれないが、バス旅でしかも観光目的にわざわざこの町へ訪れる者など皆無に等しいのだろう、だから受付のおばちゃんは不思議そうな表情をした。そして仕事についてを僕に伝えたかったのです。

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ここに暮らすのはほぼ全てワーホリの人。ドイツ人と台湾、香港人の割合が多く、日本人の姿もチラホラ。この頃は旅前に貯めた金が潤沢にあったので働く必要に迫られてはいないものの、もちろん海外で仕事をする事には興味があり、居心地も良いし物は試しってことで登録。

登録というのは、ウェイティングリストのこと。つまり仕事が欲しい人、仕事を待っている人が他にも沢山いる中で、そこで各農場で必要に応じて登録している者を雇うのである。

これ、なかなか空きが無かったりタイミングの問題もかなりあって、中には3ヶ月以上も仕事を待ち続ける人がザラにいる、実際にいた。・・・この限りなく何もない町、キャンプ場で3ヶ月の待機は確実に無理。オーストラリアは働くためではなく、あるいは英語を覚えるためでもなく、旅をしに、大陸を一周しにやって来たのだ。

1週間を期限として貰えなかったらここを出よう、という軽い気持ち。

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仕事が欲しい旨をここキャラバンパークのオーナーに伝えた時である。


「OK! OK!」


ありがとうございます。では、よろしくお願いします。


「Yes,・・・」




「・・・ummm~~ッ!」




・・・?



「You are・・・」




「Good boy・・・haha〜・・」



(僕の肩をポンっと叩き、なでるように手のひらをスライドさせる)




・・・ッ。





聞いてみた。

ねぇねぇ、ここのオーナーってなんか変じゃない?




「彼はゲイやで!タイに男の子を買いに行ったりするんやで!」





ですよね。ただならぬ雰囲気と表情で、舐め回すように言葉を発せられたから。


「背が低くて、少年っぽくて、英語があまり話せないアジア人がタイプやで、きーつけや。」







それタイプってか俺じゃねぇかよ。



が、その甲斐あってか?気に入られたから?まさかの登録3日目で仕事が舞い込む。

勘違いしないでください、オーナーにケツの穴を捧げた対価ではありません。

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オーストラリアの最低賃金、時給は各州によって少し変わりますが2018年現在で約19豪ドル。1ドルが約80円なので、時給は1,500円以上。

日本の地方の倍ですね。ちなみに僕がいた2013年当時は、1ドルが90~100円の間という黄金期。つまり時給2,000円近く貰っていました。

世界屈指の好景気を誇るオーストラリアは物価も高いけれど、その分やはり給料もベラボウに高い。物価に関してはこの国は自給率もとても高いからか、生鮮食品や穀類などはむしろ日本よりも安く感じる。外食はとても高いが自炊で大幅に節約が可能。だからワーホリを利用して出稼ぎに来る人もたくさんいる。

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さて、持ち前の強運が炸裂してあっという間に得た仕事は、チリのピッキング、唐辛子の収穫でした。ドイツ人が2人に僕というチームで、ただひたすらにもぎ取ってゆく。

彼らとの英会話に少し苦戦したものの、作業自体は単純だし身振り手振りでなんとかなるもの。そもそも会話ってのは表情でするものなのである。特に重労働ってわけでもなく、これで一日1万5千円以上貰えるってんだからやる気も俄然アップである。


んがしかし、この意欲は2日目にして萎縮されそうなのであった。

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あ"っあ"っ・・・あ"ひゃへぇ〜、あ"ひゃへぇぇ〜〜はくほぉ〜〜ッぱいぱn。。


初日の唐辛子はたまたまメンバーが一人お休みで、僕がその代役なだけでした。僕の本来の担当はエッグプラント、そうですナスび。

これがですよ、死にましたね、いやはや死ぬ直前までいったと思います。エンドレスな中腰作業で腰が崩壊。ガチもガチで後半は奇声あげちゃった。意識が朦朧で足がフラつきまくり、こんなこと初めて。


6人のチームで並んで一斉に収穫していきますが、遅れると皆に迷惑がかかってしまうので必死に食らいつく。それでもレギュラーメンバーは新人の僕をドンドン突き放してゆく。

更には強烈なまでの農薬に襲われ、かゆいしむせるし、鼻水が止まらない。しかしそれを拭く余裕も無い。

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(マツコデラックスかよ。)

このデカさゆえに茎も太く固く、ハサミをにぎる力もなくなっていく。

あれ?体力にはだいぶ自信があったんだけど、なんだこれ、ボロボロじゃないか。そりゃ初日は誰だってキツイだろうけど、颯爽と進んでゆく彼らはこれどんな根性してんだ?

お金にまったく困っていないこの頃。むしろ失礼ながら興味本位で仕事をやっている感覚だったので、ハングリー精神ってものは他の連中と比べたら確実に劣る。辞めればいいじゃんってね。がしかし、それは逃げることを意味する。これじゃあ男ブンコーのプライドが許さねぇ。ってな具合で2週間以上に及んだ、もはや心体のトレーニングを耐え抜いたのでした。

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(オセアニア周辺で生息するポッサム。警戒心は高いものの、毎晩パンを与えてあちらから僕のテントに遊びに来るまでに仲良くなれたお友達。)


聞いたとこによると、このキャラバンパークで契約している農家のうち、僕がいたところが一番厳しくキツイ場所だったそう。出来の悪い奴は速攻で首を切られるらしく、だからみんな必死だったのか。

それにしても1日目2日目の仕事終わりは本当に参りましたよ。

筋肉痛でガチで腰が曲げられないので、まずゆっくり膝からストンっと落としてから、ボテぇッと尻を地面に打ち付ける。「座る」という動作に7秒かかるコメディ。「立ち上がる」動作に至っては11秒を要し、あいやぁあッッ!!!の掛け声無しには完遂できない喜劇。

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それもこれも、今となってはすべてが掛け替えのない思い出。お金は大事だけどそこまで興味ない。面白けりゃオッケー、あとで笑い話になりゃサイコー。だからこの件も言うことなし!

3週間も外で生活をするという素晴らしい経験、友達が沢山できて、農薬の怖さを肌で知って。オマケにたっぷりのお小遣いが付いてきた。
また少し成長した、旅立ちからこれ以上ない最高の1ヶ月目。更に自分を強くしていくため、このデカイ大陸を制覇するため、僕は再び出発するのであった。



1話構成にした選りすぐりのエピソードを集めたオーストラリア編はコチラから↓

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