Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険コメディロマン

【なんも言えねぇ。-上巻-】ボッタくり、窃盗未遂、侮辱。〜エチオピア劇場〜

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エチオピア以南からは蚊によるマラリア汚染エリアに入るらしい。
感染すると死に至るケースもある恐ろしい病気である。このマラリアによる死者は世界の9割がここサハラ沙漠以南のアフリカだそうだ。

絶対に刺されないよう細心の注意が必要だ。左手には常に殺虫スプレーを装備、鉄壁のガードよ。


しかしちきしょう、蚊という漢字の「文」は、ブーンって飛ぶ音から付けられたという説があるようなんだが、同じ漢字を持つオラからしたら迷惑な話だな。蚊ごときに文という字を軽々しく使って欲しくないってことよ。え?それはまずテメェの父上に言えよって?確かに。でも、そもそもブーンじゃなくて明らかにプーンだろ?だから「分」とか「糞」だろ?糞とか最高じゃん、蚊の名付け親はこれ完全にミスったろ?


まぁいいわ。・・・って、あれ?まさかね。


・・・いや、あれ?うそ?・・・え?




・・・あんだけ警戒して殺虫スプレーを片手に常備していたのにもかかわらず










おでこに2発刺されるという完璧なる喜劇。


鉄壁のガードむなしく完璧なコメディになっちゃったお前。


前回

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もくじ


2017年9月27日〜

ワイシャツの男の正体


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温厚な人々が印象的なスーダンを越え、お次は世界一ひとを怒らす国と言われるエチオピア

「イミグレーションはこっちだ、付いて来い。」

難なくスーダンを出国したとたんの、安定の謎の人物の登場。シカト。

でも場所が分からないのは事実なので、でも安易にコイツらに付いて行くと案内料を出せとかメンドくさそうなので、なんとなく言われなくても自分で行ってるように見せかけて付いて行く。これアフリカ旅の基本。


なんとなく案内されたエチオピアのイミグレの担当者は、衝撃のフレンドリーさでした。美人なお姉さんで、エチオピアの言語を教わったり世間話をしながらハイ、スタンプぽんって感じ。経験上、フレンドリーでスムーズな入国が出来るとその国では上手くいく、というジンクスを持ち合わせているのだが、果たしてどうなのか。

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気持ち良く入国したのも束の間、先ほどの謎の男が待ち伏せしており、やっぱり僕に食い付いてきます。

「両替は?するだろ?おい聞け、今日と明日は祝日で銀行は休みだ、今ここでやっておかないと町で両替は出来ないぞ。」


・・・もう露骨すぎるでしょ、祝日?はいはい。てかもうスーダンで両替してるし、サヨナラ。

「おい聞いてくれ、エチオピアは悪い奴がたくさんいるけど、オレはそうじゃないぞ!」


・・・マジで疲れそうだなこの国。


「見てくれ、つい先日に会った中国人のフレンドだ。オレは悪い奴じゃないんだ!」


・・・キミら・・。見せられたスマホに写っていたのは、その男と肩を組むバスの横転事故から生還したあの中国人の楽しそうな写真でした。

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<国境の町メテマ。現地人が謎のドンチャン騒ぎ>

彼は立て続けに悪いエチオピア人の手口について話し始めます。
完全警戒していた僕ですが、しかしどうやら彼はとても良い人だったのです。


ゴンダール行きのバスは70〜80ブルだぞ、100ブル以上請求されたら殴ってやれ!」
(エチオピアの通貨はブル。1ブル約4円)


なんて教えてくれ、それを紙にしっかりと書いてくれたんです。更にはトゥクトゥクを呼び止めて、バス乗り場まで10ブルで僕を乗せるよう交渉してくれたのです。30ブルくらい取られてた情報を知っているのですが。しかも祝日ってのもマジでした。


「オレは日本人も中国人も大好きだ。気を付けて、楽しんでくれよマイフレンド!」

そう言ってグッと握手。てことでガチでジェントルマンでしたこのパリッとワイシャツを着た男性。

ちょっと警戒し過ぎちゃったかな、初めから悪い奴と決め付けていたなぁと、少し申し訳無い気持ちにはなったのですが、いやしかし、これくらいじゃないと自分を守れない。これで良い。

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ゴンダールまでは250ブルだ。」

バスの兄ちゃんは言います。もう、安定は安定を通り過ぎた言い値です。笑っちゃう。

{{ 100ブル以上請求されたら殴ってやれ! }}


100ブル以上もなにも、倍以上ですよ、これはもうワン・ツーからの左ボディブローからの右アッパーでアゴ粉砕レベルのボッタクリですよね、さぁ歯を食い縛ってくださいお兄さん。

いやいや、俺、相場知ってっから、はい。
これが目に入らぬかと言わんばかりにあのジェントルマンが書いてくれた紙を見せつけ、まぁ荷物代を加味して90ブルで決着。

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道中は牛さんや羊さんの放牧で道が封鎖されたり、よりによって道路の真ん中でリラックスするロバさんを避け、道路を横断するニワトリさんを轢きそうになったり。

甚だしい言い値を提示した兄ちゃん達でしたが、フレンドリーだし助手席に座らせてくれて楽しい移動となりました。

「へいジャパン、好きな曲聴いていいぞ。」

そうです、この車は日本車でカーナビも装備され、90年代の黄金時代のJpopがたくさん収録されていたのです。日本の古い車がそのままどこかの途上国を走っているのは珍しいことではありません。

「左へ曲がります、ご注意ください。左へ・・・」のアナウンスを響かせるトラックも国によっては走ってます。異国にいるのに不思議な気持ちになりますよ。

いやしかし、エチオピアで日本語のカーナビを操作してhideのピンクスパイダーエチオピア人と聴くこのシチュエーションってね。

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ガチなライフルを抱えたポリスによる検問が何度かあり、なぜか一人の乗客の新品のジーパンなどを没収していました。全く状況が分かりませんが、うなだれるその客。パワハラですかね。

他にも検問がいくつかあるのも、まだ昨年11月に起きた大規模なデモ活動によるものでしょうか。2017年10月現在でもこの周辺は“不要不急の渡航は止めてください”の危険レベル2に指定されています。


外の空気はスッカリ冷え、山の頂上には雪が残っていました。
赤道付近の国だし、そもそもアフリカ=暑いというイメージがありますが、エチオピアは山脈の国で標高が高く涼しいのです。

噂の一品に対する敬意

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5時間ほどでゴンダール(Gondar)へ到着するやいなや、宿の客引き登場。
トイレ・ホットシャワー付きWiF有りで200ブル(約800円)だという。

シカトしようと思ったのですが、事前に調べた宿と同じ値段だし、案内料だとかそういう類の料金は絶対払わないということを条件に付いて見に行きました。自分の家族でやっている宿だから紹介料もクソもないということです。

宿の客引きというのは悪いものばかりではありません。それほど泊まってほしいのだから値下げ交渉もしやすかったり穴場が見付かったりもするんです。

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あのジェントルマンが言っていたように、キリスト教関連の祝日でアチコチでドンチャン騒ぎ、このように十字架を燃やしていました。北アフリカイスラム教の国々からの、エチオピアは世界でも最も歴史のあるキリスト教王国なのです。
バスで教会を通り過ぎる際には十字架を切る人もたくさんいます。教会の扉にキスをする人も多数。


「1時間後にはどちらも使えるようになるよ。」

案内された宿は大きく、部屋は至ってシンプルで、WiFiもホットシャワーも、それ以前に水すらも出ませんでしたが、怪しいけどそう言うし疲れていたので一泊だけならと了承。

夕食とATMへお金を降ろしに行こうとすると、あの客引きと、更には家族のスタッフなのかもう2人の、計3人が僕を案内してやると勝手に付いてきます。

来るのは勝手だけど俺ぜったいにキミらに1円も払わないからね?

何度も念を押してそう言い放ちますが、自分らは暇なだけだから大丈夫だ、と。
この町のこと、エチオピアのこと、今の祝日のこと、様々なことを勝手に僕にレクチャーしながら歩きます。


<おそらくは金目的だろう、でもあんなジェントルマンもいたことだしなぁ。>


金か善意か、ホントに暇なだけか、彼らの様子と会話の中で嗅ぎ分けます。

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絶対に金銭のやり取りは無しで勝手にレクチャー付きで一緒に歩き、絶対に金銭のやり取りは無しでレストランに案内されました。この写真とは違いますが、これと似たような本当にローカルチックなこぢんまりとした笑顔が印象的な老夫婦のお店でした。

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そこで出ました、噂の一品。
15年くらい前から洗っていないランチョンマットの上に載せられたエサのようですが、これがエチオピアの主食、みんな大好きインジェラという食べ物なのです。

日本人の間では「見た目は雑巾、味はゲロ」とまで言われる最底辺レベルの食い物だそうです。
もう名前と見た目からしてジェ〜ラァァアア〜って感じで貫禄ありますよね。


しかしながらエチオピアの方々にとっての、我々からするとお米に当たり、雑巾だとかゲロだなんて言うのは彼らに失礼だと思うんです。僕は食べ物に関しては敬意を払う人間なので。

正直なところ見た目はその通りだとして、でも口に出して言うべきではないですよね。
それではお味のほうを見ていきますね。



ほう。




はいはい。






くっそマズいわゲロって表現した奴に雑巾じゃなくて座布団300枚あげたい何でこんなの食えんのマジで意味分かんない。



これが本音でした。いやちょっと言い過ぎましたが、分厚いブヨブヨのすっぱいクレープって感じ。穀物を発酵させて作るために出る酸味だそう。

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具はどのお店もすごく美味しい。その具で誤魔化しながら食べ進めるほか無い。これをたっぷりのお米で食べられたらどんなに幸せでしょう。

しかもどの店でも、上の写真のものは少なめで良心的ですが、基本的に無駄にとんでもなくデカイのが提供されるもんで、一人で完食するのは至難の技なんです。


僕が食べ物に敬意を払っているというのは本当です。僕は出された料理に関しては絶対に残さないのがポリシーなんです。どんなものも綺麗に完食します。が、そのポリシーはここエチオピアにて崩壊です。これはもう無理、世界は広過ぎました。具だけ食べてインジェラはほとんど残すという罰当たりです、ごめんなさい。

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これはちょっとした裏技かもしれませんが、インジェラは勘弁して下さい。」と言えばこのように代わりにパンにしてくれる場所もありました。

かつてはイタリアが侵攻してきた過去があるためか「チャオ!」なんて挨拶されることもあり、スパゲティもよく食べるようです。しかし彼らはそれすらもインジェラと食べるんです。パスタがおかずなんですよ、頭悪いんじゃないの?いやいや、日本だって焼きそばパンあるし、僕もラーメンライス大好きですからね、むしろライスが無いと食べたくない。

なんも言えねぇ。


「見てたらお腹がすいてきた、オレらにご馳走してくれないか?案内もしたし。」


さて、黙って僕をジロジロ見ながら食べ終わるのを待っていた3人組でしたが、安定のこの発言。

むしろ多少その発言を待ってた感があるから僕も少しゲスいかもですね。


やっぱ完全にクロでした。もちろんシカト。
おごってくれないことが分かるやいなや、3人のうち隣の一人が僕のカバンを開けていました。

振動で察知しましたよ。無事に窃盗未遂です。
何やってんだオメェ、鼻曲げたろか?消えろ、今すぐに。


男どもは黙って去って行き、会計をして幕を閉じました。
が、この時120ブル(約480円)も払っていて、肉が入ると高くなるってのはどこかで知っていたので、でも後で分かったことですがこの内容のメニューであれば50~70ブルの相場だったんで、そうですね、すごいボラれてました。

差額は彼ら3人に紹介料として渡すのでしょうか。人の良さそうなニコニコした老夫婦で悪い感じはしなかったんですけどね、残念です。初めに値段を聞かなかった自分が悪いですね。

ちなみに一番最初に載せた素晴らしい彩りのインジェラはたったの40ブル(約160円)。


そして更に衝撃の事実が、あの3人のうちの一人は僕が泊まっているホテルのスタッフなんですが、あの客引きはスタッフでもなんでもなく、ただの宿泊客だったそうです。もう一人の窃盗未遂の男性は他のホテルの従業員で、遊びに来ていただけということでした。家族でもなんでも無い。

そのスタッフに尋ねたらなんの気無しに自供したんです。

どっかのホテルの従業員が窃盗未遂ですよ?もうなんか、エチオピア、ワクワクしてきますね。



そのよく分かんない男どもとツルんでいたことを知っている以上、会話をしたくないのですが、まぁこのスタッフがシツコイ。


「フレンド、明日ツアーに参加しないか?」


興味ない。


「フレンド、言い忘れたが室内での洗濯は禁止なんだ、だから洗濯は僕に任せて。」


そもそも未だに水出ないんだけどね?


「今は祝日で人がたくさんいて、だからWiFiは混み合っていて一時的に使えないんだ、1時間後には使えるよ。


WiFiが使えないもっともらしい素晴らしい模範回答だけど、それをお前、もう3回も聞いたけど?


「フレンド、そもそもSIMカードを買ったらどうだい?でも外人は一人じゃ買えないから、オレが買って来てあげるよ。」

もうバカなんですかねバカなんですよ。なんで俺らは一人で買えねぇの?結局WiFiは一切使えず。

これをワザワザ僕の部屋に度々ノックして訪れるわけですから、まぁ殴りたくなります。


水ですが、ちゃんと出るようになりましたよ、深夜3時に。
ホテル付属のレストランでトイレは使えたので、今さら感が半端無いしもう別に必要無いんですけど、<出ねぇじゃねぇかよ!>とツッコんで蛇口をそのまま戻さなかったので、だから急に水が通り出したので突然ダッバダッバ出てきますよね、深夜3時に。

もう完全なホラーですよ、飛び起きましたよ。



「え?チェックアウト?2泊すると宿帳に書いてあるけど?


挙句にはこれです、もうなんも言えねぇ。北島康介さんレベル。
露骨どころかそもそも肉が付いてないほどの金への貪欲さは、むしろ尊敬にまで値する。

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See you again.

限りなくお世辞の言葉を吐き捨て違う宿に向かいます。
エチオピアのホテルは、どこでもコンドームが備えられていることにビックリでした。

初めは売春宿かと疑ったんですけど、エチオピアではエイズが流行っているからとのことです。

タダでもらえるので緊急用として僕も2つほどカバンにしまい込んだのは内緒ですよ。

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避妊具の話の後釜という、それに耐えうる屈強な忍耐力を備えた話題は何かと考えたんですが、思い付かないんで普通に飲み物の話をします。
そうですね、エチオピアと言えばコーヒー。
こんな魔法のランプのような可愛らしいポットに入れられています。少し苦味の強いお味。真ん中の練炭には乳香が焚かれてアロマ的な感じで香りを楽しむのだそうです。

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ローカルな場所で飲めば3〜5ブル(約12~20円)。スーパーで売られていたインスタントコーヒーは一つ8ブルでした。店で飲んだ方が安いというのは珍しいことで、やはりよっぽど普及しているんですね。

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コーヒー・セレモニーという他者をもてなすエチオピアの伝統的な習慣があるそうなんですが、これのことで良いのかな?コーヒーを飲むという行為を儀式化したもので、日本の茶道と同じような意味があるそう。

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エチオピアでポピュラーな飲み物のもう一つがコチラ、アボカドジュース。
ジュースというかスプーンですくって食べるので、もはや食べ物なんですけどね。ちなみにいつもスプーンて入力したいのに「スピーン」ってなるの僕だけですか?

甘ったるいので結構な砂糖が加えられていると思うんですけど、なかなかの美味で100%フレッシュらしいので体にも良さそうです。ライムを絞るとサッパリしてグッドでエチオピア人はみんな大好きな一品。

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コチラは食べ物ではないんですが路上で売られていたもので、何に使うものだと思いますか?
竹に見えるんですけど、固い皮を削ると細かい繊維がビッシリと出てきまして、この部分をしゃぶって唾液でフンニャリさせてから磨くそうです。そう、これ歯ブラシなんです。

オッサンが道を歩きながら磨いている姿をちょくちょく見かけます。家で磨け家で。
これ奥歯の歯間の汚れを取るのは限りなく難しそうですよね。一本5ブル(約20円)。

町の中心部には世界遺産のお城がありますが、見どころはそれくらい。もちろん行きませんけどね。


-下巻-に続く

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