Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険コメディロマン

【実話】カンガルーを殴った日。~なんて素敵なカナナラLIFE~

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こんにちは、今年も残り350日ほどとなりましたがいかがお過ごしでしょうか。後悔のなるたけ無い年にすべく、思い立ったら即行動!今年もマイペースな本ブログをどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、だいぶ更新が遅くなりましたが、前回に続きオーストラリアでの農業生活の模様をお届けしますよ。


bunkohstyle.hatenablog.com

その一度目に仕事をしたエア(Ayr)からは打って変わり、今回はその半年後のおはなし。

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オーストラリアの旅も終盤戦を迎えた2014年5月〜。

炸裂する強運バズーカ


そろそろ仕事したいんだよなぁ。なんてったって最後に働いたのはもう半年も前

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ケアンズから時計回りの大陸一周もあと4分の1を残し、やって来たのはウェスタンオーストラリア州に属する町、カナナラ(Kununurra)ノーザンテリトリー州との境に位置するヘキ地で、ここもファームジョブで有名でたくさんの労働者が集まる。

 

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先に書いた通り、前回のエアでの仕事から約半年の月日。あれから僕はタスマニアで車を手に入れ、限りない自由を得てこのデッカい国をひたすらに疾走していた。
あの時のまだ海外に対してケツの青かった自分は、もういない。


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今やすっかり熟練のホームレスとなっていた。違う違う、さすらいの旅人となっていた。

外でメシを作り車内で眠る。トイレ?ペットポトルの水でオッケー。シャワー?ペットボトルの水でオッケー。洗濯?公園。あれ?結局それホームレスやんけ。まぁ物は言いよう。

自由な冒険と引き換えに、車ひとり旅に重くのし掛かるのはそう、ガソリン代。2万、3万キロも走ってればそりゃブラックホールのごとく金が吸い込まれる。その分を回復させるべく西オーストラリア州に入ってからは、経由する各ファームの町で仕事の有無や状況をチェック。

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しかしどうもピンと来る町がないまま先へ先へ進み、とうとうこの州で最後の場所となる、ここカナナラまでやって来たのでした。

ウェスタンオーストラリア州はこの国の8つの州の中でも特に景気が良く時給も高い。という事を耳にしていた僕は、なんとか最後のこの町で働きたい気持ちが強くなっていた。

よし、その為には行動せよ。

町に到着して早々、買い物がてらに立ち寄ったスーパーマーケット。そこで品出しをしていたアジア人を発見。もしかしたらここでスタッフを募集しているかもしれない。


ハロー!元気?お仕事中すみません。あの、仕事を探しているんだけど、このスーパーで働けたりしないかな?何か知ってる?


「・・・うーーん、たぶん今は募集はしてないと思う。キミは日本人?俺は台湾人だよ。今住んでるシェアハウスに日本人の友達がいるから、何か聞いてみようか?あ、それか、俺が前に働いてたファームのスーパーバイザー(管理、監督する人)の電話番号を知ってるから教えてあげるよ。」

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あれ?なんだかさっそく良い流れ来たこれ。台湾人ってどうしてそんなに優しいの?「そこで情報収集するといいよ!」てな具合で労働者が多く集まるキャラバンパークまで教えてくれた。


まずさっそく、そのスーパーパンツなんちゃらさんの番号に電話してみる。セリフをしっかり頭に叩き込んでから。

半年前とは比べものにならないくらいに英語が上達していた僕。上達というよりは慣れてきた頃で、徐々に単語がスローに聞こえてきた頃。しかし、やはり会話ってのは実は表情でする割合が大きいので、電話で英会話ってのが一番厄介なのである。


(ドキドキ)



・・・ッ!<うぉっ出た>ハロー、あのぅ、台湾人のフレンドからあなたの番号を聞いたんですが、いま何か仕事ありませんか?





「・・・ん〜〜っ?ん〜〜〜。」





「・・・おまえ車は持ってるか?」




・・・!!<あれ?マジ?> イェス!持ってますよ!!





「ん〜〜〜そうか。ん〜〜。」





・・・ッ!!<嘘でしょ?>





「明日あさ9時からグレープフルーツの仕事がある。車で来い。」


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てな具合で瞬殺でパッキング(選別・箱詰め)の仕事をゲット。

つい前日に2人が辞めて、その穴に僕がスッポリ入れちゃったらしい。ネパール人が仕切っている仕事のようで、手に入れた作業は単純。ピンクグレープフルーツを傷んでいないかチェックして箱に詰めていくだけ。これで時給は21ドル!当時のレートでは約2,000円、ウハウハっすよ。

これ以上無い最高のカナナラ生活のスタートを切ったは良いが、惜しくもグレープフルーツは既にピークを過ぎており、スーパーパイパンなんちゃらさんから仕事は3週間ほどで終了だと伝えられる。

しかし6月頃からはカナナラの2大生産物と言われるメロンやカボチャのシーズンが始まるようだ。

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それじゃまた見つけようってことで足を運んだのがJOB SHOP、日本のハローワーク的な場所。

そこで登録をしておけば(いつの日か)仕事を紹介してくれる。これはカナナラで仕事を得るために必須とも言えます、あるいは斡旋してくれる宿に泊まるか、大まかにはその2択。

がしかし、仕事を得られるのはエアと同様、いつの日か、になってしまう。乾季の収穫シーズンはたくさんの人が出稼ぎにやって来ます。やはり1〜3ヶ月以上も待ち続ける人もいるし、遂にゲット出来ないまま町を去る人もざらにいる。


グレープフルーツの仕事がフェードアウトしていく中で足繁くジョブショップへ通うも、良い知らせがないまま遂に無職になった。

ハッキリ言ってこの時の僕はまだまだ、旅前に猛烈に貯めた潤沢な旅資金を持ち合わせていた。だから必ずしも働く必要には迫られていないものの、しかしこのオーストラリア一周は、世界旅の練習であると位置付けている。僕の旅はこれからが本番。

つまりここで、消費した資金をどれだけ回復できるかで、今後の旅のやり方や期間が変わってくるのだ。


やりてぇんだよ俺は、ダイナミックな旅が。よし、辛抱強く待ってみるか。

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という意気込みもつかの間、無職になって2日目で仕事が舞い込む。手に入れたのはここカナナラで1、2を争うほどの大きなファーム!、の、草むしりの短期の仕事。

しかし、僕の仕事への一生懸命さがスーパーパンパースなんちゃらさんに伝わり、草抜きの作業終了時に見事、メロンとカボチャの収穫のレギュラーメンバーに抜擢されるのである。

からの、それから間も無くしてまさかのウェスタンオーストラリア州の最低賃金が50セント(当時で約50円)上昇するという奇跡。からの、基本的に土日休みらしいが、史上まれに見る豊作の年だったそうで休日返上で働くことが出来た。

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てな感じで、僕のトータル4年半に及んだ壮大なスケールの冒険旅は、ガッツリガッポリ稼がせてもらえたこの仕事のお陰で成立したと言える。僕を選んでくれたスーパームーニーマンなんちゃらさんには感謝感謝です。

カンガルーを殴った日。


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毎朝4時に起床。ガンガン働いて、クタクタで帰って、友達とメシ食って喋って。8時台には就寝という超健康的な生活。


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こんなテントで約3ヶ月以上も過ごすなんて、また貴重な経験。

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テント泊っていわゆる野宿だけど、個室なんですよ。だからこれに慣れると相部屋のドミトリーとかで寝れなくなります。同室のオッサンのイビキに悩まされることなく、他人に気を使う必要もないストレスフリー。オナニズムや火遊びも容易ですからね。すいません。

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お世話になったカナナラで一番安く滞在できるキャラバンパークは、ヒドゥンバレー(Hidden Valley)という、なんと国立公園に位置した贅沢な場所。

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キャンプサイトの裏をほんの少し歩けば雄大な大地。散策も縦横無尽に可能。

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キッチンとシャワーは共有で仲間との半共同生活。お邪魔しまーすッなんつって仲の良い友達の家に遊びに行ったり。

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バオバブの木に見守られた素敵なお城を持つ人も。こんな空間でのお喋りが楽しくないはずがない。

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スコーーーンッ!!!! べぇぇぶぉ〜っっ!!


そんな愉快な日々の、とある夜中でのことでした。
このキャラバンパーク、昼間は平穏な空気に包まれているが、夜は人が寝静まると、なんと野生のカンガルーが出没するのです。


それは1匹や2頭ではなく、家族ぐるみか、群れでやって来る。大きなものは体重が80kgにも達するそうで、そりゃそんなのが飛び跳ねまくってんですから、軽く地震ですよ。キャンプサイトの芝生も大好物のようで、ムシャクチャとそしゃく音も響き渡るし、睡眠妨害もいいとこ。

しかも彼ら、外に放置されている果物や食べ物を食い荒らしてきます。ゴミ箱も。ただ、こればっかりはそこに置きっ放しにした人間が悪いですね。画像のスイカがその被害というか、自業自得と言いますか。


グチョグチャッ チョブカプリチョーザ

深夜1時頃。存分に音を立てて食べる中国人のような、激しいそしゃく音で目が覚めたのです。瞬時に、テントの目の前にうっかりメロンを置きっ放しにしていたことを思い出す。目線の先には、案の定、近くのトイレから届くわずかな照明の光が僕のテントにしっかりと、カンガルーのシルエットを映し出していた。



・・・ッ。


出入り口のファスナーを、ゆっくりと上げ、ゆっくりと外界を覗く。



そこには紛れもなく、体長およそ1m40cmほどのキミが、目の前で、僕のメロンを一心不乱にむしゃぶり食っていた。カンガルーの顔って間近で見ると、キモいというか怖ぇ。


そのままファスナーを完全に上げ、入り口が完全にオープン。キミは僕に気付き、食べるのを止める。




20秒くらいか、お互い微動だにせず、見つめ合う。よく分からない無言の駆け引き。顔と顔の距離、わずか30センチ。


警戒心の強い彼らは、大抵はヒトに気付くと逃げていくが、キミは違った。動かない僕に危険性を感じなかったのか、あるいは、メロンが旨すぎたのか、再び美味しそうに食べ始めたのだ。



・・・。


(俺のとっておきのメロン・・・。それに、毎晩のお前らの騒音による睡眠妨害・・・。)


--射程距離--


・・・あれ?これ、大チャンスちゃうこれ?


--狙い:鼻先右側--


メロンに関しては完全なる自分の置き忘れミス。騒音に関しても、彼らの住処を奪ったりなどの、結局は完全なる人間のエゴなのだ。この世に動物に非など一切無いはずである。

しかし、この時の僕の感情は非常に幼く、最高の一品であろうメロンを奪われ、かつ睡眠を妨げられたことによる一方的な憎悪で凝り固まっていた。



なので僕は、



キミを、



--左フック一閃--



殴った。





まるでこの世の終わりのような、初めて聞くカンガルーの鳴き声。仰天した彼は一目散に飛び去っていった。辺りの少し遠くには、仲間でしょう、淡い月の光に照らされた不気味なシルエットも一緒になって、ドッサドッサと重低音を響かせ視界から消えていった。








この件の被害者はカンガルーさんに他ならないのは言うまでもありません。ごめんなさい。ただ、その事件後に明らかに変化があったのでお知らせしますね。





あれ以来カンガルーが俺のテントに近付かなくなる神話。

「みんなよく聞け、あのテントには近寄るな、殴られるぞ!」みたいな?

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カンガルーさんには本当に申し訳なかったけど、そんな一生語れる伝説も創ることができたカナナラの生活は、心の底の底から充実していた。毎日の仕事はシンドイけれど、しかしそのシンドイの種類が違う。猛烈に心地良いシンドさなのだ。これから始まる大冒険へ大きく繋げられる収入源があることはもちろん、個性が炸裂する仲間との出会いと交流。毎日がパーティ。

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夜中にションベンしに外へ出ればコレ。尿意が消え失せて見惚れる夜空、たまんねぇよ。なんて贅沢な日常だよ、罰当たりそう。

「心が満たされてる」というのは、こういうことか。ってのを確実に実感できたほどに幸せを感じていた日々。いつか必ず、この感覚でいられる人生を送るのが、これからの目標である。


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「あした仕事?」「オレ休み〜!うぇーい!」なんてやりとりを海外の屋外ですることなど、もうこのさき二度と、やっては来ないでしょう。それでも、かけがえのない時間は永久に、僕の心にあり続けるのだ。

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一切のコネ無しで到着初日に仕事を手に入れ、その後も入れ替わりで2日目で違う仕事を得ることができたカナナラ。

僕ってスゲェでしょ?いやいや違う。このブログでは何度も言うけども、「運」てのは自分で引き寄せて自分で掴んで、自分で育てるもの。

人に聞いてみるという行動に出たからグレープフルーツの仕事をゲットできた。きっとジョブショップの人に気に入られたからすぐに草むしりの仕事をゲットできた。そして全力で一生懸命に働いたからメロンの仕事をゲットできた。


「行動」「謙虚」「愛想」「礼儀」「感謝」「一生懸命」

この6つが自分自身に備えられたら、大抵の事はうまくいく。運ってのはスピリチュアルなものでは決してない。


・・・あれ?


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最近ブンコーがゲッターズ飯田さん化してる件。

2019年も、うまいこと(マイペースで)行きましょか!

改めまして、相変わらず更新頻度は少ないでしょうが、本年もお手柔らかによろしくお願いします!



1話構成にした選りすぐりのエピソードを集めたオーストラリア編はコチラから↓

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