Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険コメディロマン

【重要だぞ】安宿でしっかり部屋を確認しなかった結果。~ベトナム中部のハッスル走行記~

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吹き出んぞ、汗が。ちゃんとチェックしなかった俺も悪いんだけどさ。

なぁアンタ、これから首をずっと振り続けんの?


それの紐が無くなっちゃってて大変やな。でもさ、無理とは分かりつつも、俺だけに風を当てて欲しいんだよね。


なぁ分かるだろ?クッソ暑いの、部屋。


おい、無駄な方角への風の提供はやめろってお前。


こっちだけ向いとけ。お前がよそ見してる間に汗が吹き出てくんの。

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ちきしょう、今夜は眠れないかもしれない。

前回

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ビザランでは無いにしろグレーゾーンだったのか、ゴタゴタがありつつもビザを利用しての再入国になんとか成功した僕。

さぁ残り3分の2以上の距離を30日間で攻めなければならない期限付き。1日たりとも無駄にはできない。しっかり食って休養して身体を大切にしなきゃ。怪我や風邪でも引いて寝込んだら時間内でのベトナム走破は限りなく厳しい。

タイトなスケジュールだが、俺は負けねぇ。やってやるぜ。





バチョーーーーン!!!!!



・・・その意気込みを早くも儚くも打ち砕きそうな、胃腸がひっくり返るような不吉な音が後方から響き渡る。

前回に発覚した、荷台を支える部分が左右どちらとも折れて外れていたという惨事。

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これ。くぱぁ〜ってなっちゃってた。


それでもまだ、その時は根本からは折れておらず、とりあえずは走行に支障が無かったもんで、修理せねば!ってよりも、大丈夫っしょ?てな具合の奇跡の楽観視。


少しばかりの不安を抱えつつもそのまま走行を続け、そりゃあんな状態だったら時間の問題ですよ。
恐る恐る冷や汗を滴らせながらそれを見ると案の定、根元からポックリ折れて吹っ飛んでどこかへ消えていた。


分かるだろブンコー?荷台が完全にぶっ壊れたら完全に走行不可なんだよボケが。


幸いにして完全に折れたのは片方だけ。しかし言うまでもなくもう一本が折れたらいよいよ終わり。荷台が使用不可というのはつまり走行不可。重たいバックパックを背負いながら鉄のカタマリを押して、むせび泣きながら自転車屋を探すことになる。

それはヤバイ。くそ、、、1日も無駄にはできねぇって意気込んでたのに・・・。

所持している荷物の8割を載せたバッグの重みは、かろうじて残っている一本の細い棒によって支えられている。今にも限界が来そうだ。半べそをかきながらとりあえずゆっくり進む。

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でもやっぱ、科学では絶対に証明しきれない、自分でも引くレベルの超絶な強運を誇る僕。名も知れぬ辺ぴな村であっという間に自転車屋を発見するのであった。


それでも支える棒が片方しかない荷台。修理なんて出来るの?自転車屋とは言ったけれど、路上で作業をしている青空チャリンコ屋ってな感じで、新しい荷台など商品を販売している様子はない。どうやら修理専門のようだ。これで直せないとなると、ちゃんとした店がある町まで行かなきゃならない。


しかしそんな不安をよそに、その修理のオヤジは銀色にピカピカ光る山積みにされたガラクタの中から、迷いもなく鉄の棒を引っ張り出す。そして手にした機械からジジジっと火の粉が吹き出し、カンカンカンと心地良いハンマー音を響かせ、それはものの15分くらいだったと思う。

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「終わったよ。」


・・・あまりの早技に呆気に取られてしまった。荷台はしっかりとあるべき姿に戻っていた。なるほどこれが溶接ってやつか。日本であんな状態になったら間違いなく、新しく買い換えるという考えにしか至らないだろう。驚きから安堵へ、そして喜びへ。でもまだ完全に決着したわけではない。

ボッタクリのイメージが剥がれないベトナム。高額な修理費を請求されるのでは、と固唾を飲んでいたのは事実。だから、その修理の様子を写真に撮りたかったけど、お金持ちに見られぬようにカメラを出すことは控えていた。

断固として「私はラオス人なのでお金がありません」作戦である。ラオスの方々には至極失礼極まりないけど。


しかしそんな不安をよそに、熟練のオヤッサンが言い渡した請求額は、10,000ドンだった。

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日本円にしてたったの50円。
それをぴったり手渡すと彼は、ニヤっと口角を上げ、右手の親指を力強く立てた。





もうベトナム人が好き過ぎてヤバい。
 

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荷台の完全復活で再び燃え出す旅への熱い思いは、日差しの暑さにも劣らない。弾けるテンションで心もペダルも軽く、南へ、南へ。

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北部から中部へ入り初めの観光地、フエ(Huế)。ここは世界遺産にも指定された歴史ある古都で、「ベトナムの京都」のような存在。人力車で優雅に歴史的建造物を見て回るのもいいかもしれません。

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もちろん僕は興味無いですけどね。唯一そそられたのがコチラ。

フエ名物、コムヘン(Cơm hến)と呼ばれる料理。しじみご飯でございます。
右手のスープをかけて、お茶漬けのようにして頂く。豆や素揚げされた色んな具材の食感が楽しく、出汁の効いた深い味わいだけど後味サッパリしたスープでスルっと食べられちゃう。これでお値段は50円ほど。

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フエから南への道は爽快な景色が広がる。

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こんな風景がタダで見れちゃうんだから、チャリ旅はやめられない。

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約100km走って、中部の更に代表的な観光地の一つ、近年人気が急上昇中のダナン(Đà Nẵng)

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この町のシンボルがこちら、その名もドラゴンブリッジ。
このアングルは後方の尻尾に当たる部分。まだ2013年に開通したばかりの新名所は圧倒的な存在感で見る者を圧倒するでしょう。

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これが顔の部分で、よく見ると遊び心か何か意味があるのか、目がハート。

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様々な色に変化する全長666mのライトアップもまた壮観で、更に土日祝日には火を噴くパフォーマンスも持ち合わせているハイブリッドドラゴン。

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川辺では現地の人々が集まり思い思いに談笑、ロマンチックで和やかな空気が流れていました。

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ダナンからほど近い場所には、ミーソン(Mi-sön)と呼ばれるヒンドゥー教の聖域である、古代チャンパ王国なんちゃらという遺跡が静かに佇む。世界遺産にも指定されたそれは、ベトナム戦争時にかなりのダメージを受け、崩れた建造物には苔が生え、神秘的な雰囲気を醸し出している。

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(主に南アジアで用いられた古代文字のサンスクリット語が刻まれている)

規模はそこまで大きくはないものの、観光客もおらず神聖な空気を味わえる場所でした。ホイアンからツアーを利用して行くのが一般的なようです。

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そのホイアン(Hội An)という町こそがベトナム中部で、むしろベトナム屈指のハイライトかもしれません。

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ここは国際貿易港として繁栄し、日本とも徳川家康江戸幕府の時代から関わりのある古い港町。

 f:id:bunkohstyle:20180619023031j:plain(日本人が架けたと言われる来遠橋、または日本橋と呼ばれる石橋は旧市街に位置しており、いつでも観光客で賑わっている。)

のちの鎖国によって日本人の往来は途絶えたが、全盛期には大規模な日本人街も形成されていたようです。

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ホイアンの名物の一つにカオラウ(Cao lầu)という、うどんのような食べ物がありますが、これは日本人が伝えたものだと言われています。アッサリした出汁のスープにレモンを少し絞れば、更にサッパリして暑苦しい時期の中部では最適。箸が止まらない。

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ミーソンに続きこちらも「ホイアンの古い町並み」として世界遺産に指定され、その入り組んだ旧市街では狭い通路を売り子さんが闊歩します。

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ちなみに世界遺産を「関井さん」っていう、誰やねんて感じのタイプミスをしたけど、さすが、ちゃんと分かってくれるグーグル先生。

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こちらはアオザイ(Áo dài)と呼ばれるベトナムの民族衣装をまとった女性です。中国の影響か、チャイナドレスに似ていますね。というかやっぱり実際に中国が起源だそう。ちなみに南部ではアオダイと呼ぶようです。

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昼間は暑く、町歩きをする観光客はそこまで多くありませんが、いくらか涼しくなる夕方からはドっと賑やかになってきます。

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夜が本番のホイアンと言えば、中国の文化から来たこの提灯(ちょうちん)、あるいはランタン。
 

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ノスタルジックでロマンチックな夜の姿に、どこか懐かしい気持ちになるのは、自分が日本人だという証拠なのだろう。

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手のひらサイズのロウソクを川に放つ灯籠流しは毎晩行われ、優しい川風に当たりながら浮遊乱舞する灯りを眺めていると、なんだか幸せな気持ちになる。毎月の満月の夜にはランタン祭りを開催。町の明かりは一斉に消されてランタンの灯りだけが辺りを包み込み、より一層に幻想的な世界に浸ることが出来るのでしょう。

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見どころ沢山な楽しいベトナム中部でしたが、ちょうどこの時に南北を結ぶ幹線道路の大規模な工事が行われていて、んん〜まぁ〜〜大変でしたよ。

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車が巻き上げる砂埃と排気ガスをガンガン吸いながら浴びながら、こんな感じの未舗装地帯が延々と、たぶん700kmは続いてました。この距離は東京から青森に相当する。

短い距離で少しづつ工事して進んでいけば良いのに、一気に広範囲で始めちゃうからいつまで経っても終わらないんじゃないのかな。要領悪くない?

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これのお陰でスピードは出せないし車幅が狭くて車とスレスレで危ないし、あとは鬼のようなクラクションを延々と、しかも至近距離で1日中浴びせられストレスは爆発寸前に。というかウザったいトラックに怒鳴り散らしたりして小分けに爆発。

道が狭くて危険でスピードが出せないのに、「おい早く行けよ邪魔だよ。」的な意味合いに鳴らされるクラクションが一番あたまに来る。
 

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からの、この危険レベルの暑さ。途中で川を見つけて浴びてみるも、それすらも熱くて全然気持ち良くない。

これらが6日間続きまして、疲れとストレスからなのか、血尿でた。

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そんな疲労困憊の状態で名も知れぬ町で入った宿。

一泊100,000ドン、約500円のそこは、なんか既にいろいろ凄い室内。

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ちょっと分かりづらいですが、これ、窓枠はあっても窓が無いんです。外界との隔たりが無いんです。

宿に泊まる前には、必ず一度、室内がどんなもんかを確認します。途上国ではこれは絶対に必要です。その際に宿主が案内してくれるんですが、やっぱりまずは窓が無いことを指摘しますよね。

言葉が通じないので、ほぼ全てジェスチャーで、頑張って伝えるのです。


・・・・ッ、・・・・・・・ぷすッとさぁ!ね?

(窓無いじゃん、だから蚊が入るでしょ?蚊、いるでしょ?刺すでしょ?)





宿主:「・・・!」


「&%$0フP33@*6#(パンッ!)




これマジで吹いちゃった。

蚊が入り放題じゃね?って身振り手振りで頑張って伝えたら、「大丈夫だいじょうぶ、蚊はいないよ!」という感じの事を言ってるそばから目の前に蚊が飛んできて倒す宿主。コントかよ。

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薄暗いトイレにはゴミがそのまま。この手前のスポンジって用途なんなの?神様のスポンジ?触ったら指が溶けそう。

こういう汚さはもう慣れっこだけど、やっぱり蚊の出入りが自由という点で不合格。がしかし、他の部屋の空きはもう無いらしい。割と大きめな宿で部屋数も多そうだけど、謎過ぎる大盛況。

他の宿を当たろうかと3分考えたが、体の疲労が半端なくそんな気力は無かった。安さに負けたってのもあるが。

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チェックインしたら、部屋にはチューナーなどは無くテレビは一つなのに、2種類のリモコンを渡された。そしてどっちも作動しない喜劇。


別に寝るだけだからテレビは無くていいよ。しかしこの窓が無いのは気になるなぁ。蚊除けのスプレーして寝りゃいいか。


・・・あれ?オイちょっと待て。

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窓の先はこれ墓じゃねぇか。

気味悪ぃなオイ、外界の隔たりが無くて蚊は出入り自由で、霊界との隔たりも無くて幽霊さんも出入り自由な宿ってお前、たまんねぇよ。塩にぎって寝るわ馬鹿野郎が。


しかもなんか、牛か豚か、牧畜みたいなニオイがどこからか立ち込めて来るし。



ったくよぉ、しかも室内は思いっきり熱がこもる構造で、扇風機なしにいることは不可能。でもそれはちゃんと作動することは確認済みだ。なんとか寝れるだ・・ろ・・・・、あれ?

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スイッチの紐はあるものの、首振り機能の有無をつかさどる紐は無く、永久に首を振り続けなければならない扇風機さんだった。

これも安宿あるあるですけどね、疲れすぎてチェックし忘れちゃった。しかしナゼ首振り機能が厄介かって、


お前がよそ見している間に汗が吹き出てくんの。
無駄な方角への風の提供はやめろ。


単純にそういうことです。


暑苦しい室内、蚊が浮遊し家畜の糞の臭いが漂い、おまけに目の前は墓ときた。

こんなシチュエーションで食うメシはさぞ美味しくないどころか、食欲が湧かな・・・

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なんてことは一切無い僕の雪崩のような食欲。これ宿主との会食じゃないですよ?おひとり様で全部頂きます。デザートに特大パン。すべてスーパーで半額以下で手に入れたものたち。


ふぅ、これでも腹8分目、9分目ってとこかな。あとは寝るだけ。しっかし暑いな。このままの気温だと寝られる自信がないぞ・・・。でもきっと寝る頃にはいくらかは涼しくなるだろ。

という期待は無残にも打ち砕かれ、むしろ湿気が増して余計に不快になる始末。


明日もまた過酷な1日になるんだよ、体力の回復のために睡眠はとっても重要なんだよクソが。


パンツ一丁になって全身に蚊除けジェルを塗りたぐり、なんとか眠りにつこうと努力をするものの、時刻は既に深夜3時を回っていた。



・・・。


・・・・・〜〜〜ッ。





・・・!


<よし来た、汗は相変わらず出てくるものの、それを覆すほどの眠気が!>


<良かった、少しでも多く睡眠を取らなきゃ。おやすみなさい、昨日の自分・・・>

















翌朝5時、豚のあえぎ声で強制的に起こされ、しかもそれは二度寝が不可能な騒音レベル。結局そのまま目も虚ろで頭がフラフラする状態で、宿をあとにする僕であった。




そら血尿でるわ。宿のチェックは重要だ。

てか朝から豚どもはハッスルし過ぎやろ。


次回

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