【超ナルシスト自撮り】アフリカ最南端の下にある本当の南の果て
前回
これにて約2ヶ月半のアフリカ縦断の旅も終了。次はいよいよ今回の旅のメインステージ、南米大陸に盛大に喧嘩売ってこよう。
やっぱここへ行かずして旅は終えられない。どんな景色が、またどんな困難が待ち受けているのでしょうか。そもそも果たして生きて帰って来れるのか。
そんな世界でもっとも危険な大陸の旅路。に入る前に、そうですね、僕がわざわざこのアフリカ大陸を縦断することにしたワケの場所へ、行かなければなりません。
喜望峰。なんとなくその名を聞いたことがある方もいると思いますが、約500年前の世界地図も無い時代のポルトガルの冒険家が、嵐によって漂流した末に偶然発見した岬。当初は嵐の岬と名付けていましたが、その後にあのヴァスコ・ダ・ガマがこの岬を経由しインドまでの航海ルートを確立したことによって喜望峰と改名。
そのインドとの航路によって東西交易がなされ、ポルトガルに多大なる繁栄をもたらしたことから、その希望はまさに現実のものとなったという大変なロマンのある歴史である。
ちなみに"希望"なのになぜ、日本語では「希」ではなく「喜」が使われるのか、更にはなぜ岬なのに「峰」なのかは明らかになっていません。ただ単に間違えちゃったという説が大きいようですが。
喜望峰はケープタウンから真南へ70kmの、ケープ半島の先端部に位置します。英語ではCape of Good hope。
このロマン溢れる岬、その歴史的な風格からなのか、どういうワケかアフリカ大陸の最南端としばしば誤解されるんです。それはケープタウンの観光協会が旅行者を集めようとして言い出したとか、色んな説がありますが、とりあえずそれは間違いであることが地図を見れば明らかですね。
本当の最果ては喜望峰から更に南東へ約150km、ケープタウンからは最短ルートで約230kmのアグラスという岬。
ちなみに喜望峰に立てられた看板には、「アフリカ大陸の最"南西"端」と書かれているようですが、これも果てマニアの僕からしたら無理があると思うんですよ。先ほどの縦断ルートの画像を見て頂ければ分かると思いますが、南西端と言ったら赤道直下の国のガボン辺りが正解ではと。あるいはアンゴラかナミビアの出っ張りの辺りですかね。そもそもアフリカの地形的に南西端て難しいですよ。
そんなテキトーな先端に用は無く、正真正銘の先端へレンタカーで乗り込む。宿のスタッフによると、アグラスまでの公共交通機関は"無い"そうです。それじゃ現地人はどうやって移動するんだよとツッコミたいところだけど。
車は中心部にあるAroundAboutCarsでレンタル。出発前後のチェックや応対は日本と謙遜なく感じた。行き先が最南端のみであれば24h料金で帰還が可能。トータルの料金(オートマ、保険混み)はガソリン代を含めて1,050ランド(約8,500円)でした。
海外での車の運転はなかなか勇気のいる事ですが、それも何のその。ここ南アフリカはオーストラリアとソックリだと先に書きましたね、綺麗な道で交通ルールも同じ。慣れたもの。風景も似ていて、あの時の旅の思い出と並走してましたよ。
さすがにこんな障害物はなかったけど。危うく車が大破ですよ。
寄り道してたら未舗装地帯に入っちゃった。
軽自動車でビクビクしながら30kmのオフロードを越え、アフリカ大陸最南端の町、アグラス(Agulhas)へ到着。
この町にはなんと安宿があるんです。最南端の町の宿ゆえに、アフリカで一番南にある安宿ドミトリーですよ、泊まってみたくなりません?その名も「Cape Aglhas Backpackers」、普通かよってね。いやいや最果ての場所に作ってくれてありがたい。
親切なオーナーと居心地の良いオシャレな共有スペースにプールもあり。
パーフェクトなキッチン設備に綺麗なお部屋。8人ドミで一泊160ランド(約1,500円)でした。HostelWorldで予約が可能です。
ここの唯一の欠点は回りに何も無いこと。コンビニ程度だけで、スーパーなど、そしてそもそも最南端の岬へも離れた場所にあるのでやはりレンタカーが必要でしょう。
さて、参ります。言うまでもなくこの大陸で一番南に立つ灯台まで車で、そこから徒歩で少し。
「最南端への道」の看板にアドレナリンが湧き出ちゃいますね。
灯台からは約1km。この辺りは国立公園となっており綺麗に整備され、開放感のある心地良い景色が広がる。
ゆっくりと歩いて15分ほど。
2つの海洋の狭間で激しい波しぶきと風を物ともせずに静かに佇み、しかしズッシリと地に足をつけ鎮座するそれは、僕を暖かく迎えて、いや、待っていてくれた気がする。
此処こそが、インド洋と大西洋が交わる正真正銘のアフリカ大陸の南の果て、アグラス岬。
ここに立ちたい、ここの風を浴びたい。でもアフリカに特別興味は無い。だからと言って飛行機でポーンと南アフリカに来て、ってのも味気無いし、達成感も皆無だし。じゃあ北端のエジプトから地面を這って行くか。というのが縦断するに当たった経緯。要は達成感の問題。
(モニュメントの脇には誰かの足跡が押されている)
記事の始めにも書きましたが、はるばるここまでやって来たけれど、それでも<呆気なかったな。>ってのが正直な気持ち。これがチャリ旅だったら感涙でしょうね。でも、やっぱり気持ちが良いもんですよ。
この大陸の誰よりも自分が一番南にいる。
果てに立つ嬉しさは、そういった優越感のようなものから来るのかは、未だによく分からない。
ここから更に真っ直ぐに南へ直進すれば、そう、南極大陸へぶつかる。そこからやって来る風は、強くて冷たい。
<こんな荒ぶる海に、遥か昔の冒険家は挑んだのか。地図も無ければ情報もない場所へ・・・>
喜望峰へ行かずとも、その雄大なロマンと勇姿を感じずにはいられない。
情報に溢れた今の時代のこの簡単すぎる世界の旅。歴史に名を馳せる冒険家には到底敵うわけがないけれど。
でも、他の人とは違う方向の旅路。それは緊張感に溢れ、ちょっと怖くて、少し難しくて、でも、それゆえにワクワクが止まらない。そんな、僕なりの冒険を続けよう。
アフリカの果てにて、その気持ちがまた一層、強くなったのであった。
目の前に広がる最南端から見届ける柔らかな夕陽は、徐々に徐々に赤く、紅く、燃え上がる。それは自分の更に熱くなってゆく信念のごとく。
あるいは、いや、それはきっと今回の旅の、本番開始のゴングだ。
始めよう。世界最恐の大陸の最果てに挑む、命をも懸けた俺だけの旅を。
次回
これまで制圧してきた世界の果てギャラリーはコチラ↓