<上巻>【行ってみた】エジプトの歯医者の喜劇!〜熟練の旅人の末路〜
2017年9月1日〜
ん〜〜良く寝た。え?
なんか違うんだよなぁ。
今日もいつものサンドウィッチで俺の一日が始まるぜ。
オヤジおはよう!いつもの2つちょーだい!
サンドウィッチ2つで5ポンド(約30円)って、なんか申し訳ねぇ安さなんだが味も悪くないし腹持ちも良く毎朝の朝食には最適よ。
うん、まぁ少々油っこいのは仕方のないところ。味はむしろイケるんだよね、うん。
・・・ジャリッ
・・・ッ!!ん〜??なんか固い物体が・・・なんだこれ。
小さな白い固まりだ。
・・・これ炊いてない米粒じゃねぇか。おいオヤジぃ!なんか固い米が出てきたぞ!気を付けてくれよな!ったく。まぁ12円だしエジプトだし、文句は無しだよな。
(10分後。)
・・・ん?なんか、とがってんな。あれ?なんかおかしいぞ。あれ?
・・・オイ、こりゃたまげたぞ。欠けてんだよ、歯が。
たまげたのはキッカケだよ、サンドウィッチで?欠ける要素ある?完全に想定外の破壊力を秘めてんだなエジプトのサンドウィッチって。静かな殺し屋的な。さてはミラクルサンドウィッチだな?
・・・そうか、・・あの固い物体って、炊いてない米粒じゃなくて、
漢字の「歯」に米って字が入ってて吹いちゃったお前。
アフリカ縦断編 前回
もくじ
ドタバタおやじとのフライト
マレーシアのスピード狂のタクシーのオッチャンによって無事にアフリカはエジプトのカイロへと上陸した僕。
マレーシアもイスラム教徒が多いし親切な人もたくさんいるが、やはり中近東(エジプトはアフリカだけど)のイスラムの人たちの親切さはもちろんのこと、あの気さくさが好きだ。町を歩いていればしょっちゅう声を掛けられる。
KL(クアラルンプール)の空港でもそうでした。荷物チェックの為にはずしていたズボンのベルトを巻くのに手こずっていたら、何も言わずに勝手に手伝ってくるカイロ出身のオッチャン2人組。とても親切で、そしてドタバタな2人だったんです。
「まだ大丈夫だって、見ろあんなに並んでるだろ?」
機内への搭乗のアナウンスが流れたので行こうとすると、こう言ってなだめる彼ら。
まぁそうだよね、すごい行列だし、もうちょい座ってようか。
搭乗までの間は腹減ってないかとかジュース飲むかとか、色々気にかけてくれる。
機内食を楽しみにしていた僕は気持ちだけ受け取ることにしていた。
「まだ座ってろってば、ホラあの行列を見ろ、ゆっくり行けばいいんだよ。」
さすがにもう行ったほうがいいだろうと立ち上がるも、やはり止める彼ら。確かに行列は行列のままだ。
・・・いや、オイ、あの行列って俺らとは違う飛行機のやつだぞ!
「よしボチボチ行こか。」
お前絶対ちょっと焦ってるだろ。
慌てて搭乗ゲートへ向かう3人。そこにはまさかの荷物の再検査。
せっかく巻くのを手伝ってくれたベルトを再度はずし通過。
しかし何やら彼らは荷物検査のスタッフとゴネている。
様子を見ていると、ジュースを没収されたようだ。
どんだけそのジュースが大切だったんだろう。まぁとりあえず、
あの時もらっときゃよかった。
KLからはサウジアラビア乗り継ぎでカイロへ。航空会社はサウジアラビア航空サウディア。
KLでのチェックイン時に、長ズボンは持っているかと聞かれる。
さすが、イスラムの総本家。基本的には旅行ビザは下りず、イスラム教徒の人しか入国できない国。
イランでもそうだったがイスラムの戒律が厳しい国では、旅行者であっても出来るだけ肌を露出するのは避けなきゃいけない。女性は特にそのへんは厳しい。
その貴重な国にトランジットではあるが入国。しかし他の空港となんら変わらない景色でした。サウジアラビアにサーティワンってなんか違和感ありますね。離陸する際にマクドナルドも見えた。
あれだけ普通の旅行者を蹴散らすのに普通に外資系のお店があるんだなぁ。
そりゃ機内の説明の際もアラビアンナイトな人ですよ。
CAもターバン巻いてます。隣の乗客のオイちゃんはスマホ見ながらコーラン読み出すし。コーランのアプリまであるんですね。
「アッラーが私たちの空の旅を見守ってくれます、どうかご安心を。神は偉大なり。」
的なメッセージがモニターに流れての離陸でした。
愉快なカイロLIFE
古代エジプトの遺跡?そんなんテレビや本で見ればいいねん、町歩きのほうががよっぽど楽しいでしょ。
カイロは茶色っぽい色ばかりの建物。旧ソ連国の淡白で無機質な街並みを思い出す。
美しいモスクとミナレットから、お祈りのアザーンが心地良く流れます。
インド式のトゥクトゥクも縦横無尽に行き来している。
エジプトはコプトと呼ばれるキリスト教徒も多く、人口約1億人のうちその1割がコプト教徒のようです。近年はイスラム過激派によるテロを警戒し、教会の周りにはライフルを装備した厳重な警備体制が敷かれている。
この河はそうです、ナイル河ですよ!世界最長のやつ。
夕方の涼しくなる時間にはたくさんの人がクルーズで河に出るようです。
犠牲祭というイスラム教の祝日だったので、路上の至る所で主に羊が解体され、町中は獣のニオイが漂っている。
路上でパンが売られています。まぁ〜車がガンガン通る横でホコリまみれでしょう。そういうことまったく気にしないんだよね〜。洗えるものならまだしもパンだからね。まぁ僕も気にしないですけどね。
左の赤いバイクの荷台に載っているのはまだ血が滴り落ちてる牛の頭部ですよ。この状態で山手通りを走ってたらどうなるんですかね、通報?
歩いていると頻繁に目にするこれ。誰でも自由に飲んでいいお水です。結構冷えてる。まぁ普通の水道水だろうけど、とりあえずお腹は大丈夫そう。
こちらもよく見るもので、ヨーロッパのD(デンマーク)ナンバーのプレートの上にエジプトのものを貼り付けてるやつ。これ単純にデンマークから輸入された車なのかな?車体はほぼすべて日本車なんだけど。たまにフランスナンバーもありました。
こちらはエジプトのソウルフード、みんな大好きのコシャリという食べ物。
パスタ、マカロニパスタ、米、パスタ、そしてパスタがごちゃ混ぜになっており、そこにフライドオニオンやニンニクチップなどを添えてトマトソースをぶっかけて頂く、炭水化物丼。
大体一食10ポンド(約60円)で店によって質は異なり、美味しいとこだとクセになる。腹持ちもよくこの安さなんでほぼ毎日食べてましたよ。
こちらが僕の歯を粉砕したサンドウィッチ。本当にローカルの場所では一つ2ポンド(約12円)。
右はもういかにも身体に悪そうなケミカルヨーグルト果物ジュース。悪いと分かりながらも毎日頂いちゃうんだよね〜。
歩いているととにかく声をかけられます。
「ウェルカム エジプト!」「ワッツ ユアネーム!」「フォトフォト!」
撮られるのが好きなだけのようで、その写真が欲しいとか言う人はほとんどいません。
「俺を撮ってくれ!」
↓
うん。パシャッ
↓
「はっはっはーじゃあな!」
↓
写真を消去しますか?
→はい いいえ
の、ループ。
青年からは頬にキスまでされちゃうことが結構あったんですが、ゲイの人が多いのかな。イスラム教では同性愛はご法度だから、外人の僕には寄り添えるんでしょうね。
とにかく僕の顔ってモテるんです。
『無反間土』
「俺の名前を漢字で書いてくれ!」って言うんで、名前を聞くとムハンマド。ほんっとにアラビア圏はこの名前が多いです、マジで3分の1はムハンマドじゃないでしょうか。あとはムスタファとか。
それにしてもこの当て字の華の無いこと。もうこの字だけで硬派でスゲー根暗な人っぽいですね。
一緒に写真撮ろうぜ!の連打でまったく前へ進めないギザのピラミッド。
この写真なんてピラミッド関係無いですからね、僕との記念撮影にしか眼中に無いらしい。
熟練の旅人の末路
そうですね、エジプトと言えばピラミッド。
心の底から興味が無かったけれど、思い切って行ってみたんです。
それにしてもエジプトは世界中から観光客が来る大観光国なはずだけど、とにかく英語表記が無い。
メトロはどこまで行こうが一律2ポンド(約12円)らしかったんですけど、ピラミッドのギザまで!って威勢良く言い放ち20ポンド札を渡したら、無知な旅行者と思われたらしくお釣りが8ポンドしか返ってきません。
いやいや、これ違うやろ♪って抗議すれば無言で返してくれますが、これがエジプトの良く無い面ですね。日本人の間では、世界三大ウザい国の一つという不名誉なランキングに入っているようですが、カイロの町を歩く分にはそんなことはほとんど感じませんよ。
「ジャパニーズ?アリガト!ヤマモトヤマ!」
テキトーに安いほうのチケットを買って、海苔が好きらしいゲートのスタッフからそう浴びせられピラミッドへ入場。
なるほど、確かに客引きは凄い。ラクダはどうだとか馬車はどうだとか。
そんなもん興味ねぇし自分で歩けるし、テキトーに大丈夫ですぅ〜なんつって言っとけばオッケー。
ビギナーな旅行者は断りきれず、あるいはハメられて強制的に乗せられ金を請求されるという事例が多いようだ。ここがウザい国と言われる理由の一つの場所ってことね。まぁ、長いこと冒険してるオラからしたらなんてこたぁない場所ですよ。
「ヘイフレンド!ジャパニーズか?オレを撮ってくれよ!」
そら来たぞ、俺をターゲットにした奴が。へっ。これで本当に撮って、後で金を請求してくるんだろ?見え見えなんだよ。
「そんなことは絶対にないさフレンド!カッコよく撮ってくれよ!」
ほぉ、言ったな?金銭のやり取りは一切無いと。オラの心の録音機は正常に稼動中だぜ?てことで撮ったろ。ラクダとピラミッドのツーショットの写真を狙ってたし。
「どうだいフレンド?カッコよく撮ってくれたかい?見せてくれよ!」
・・・しょうがねぇな。
絶対にカメラを触らせないように見せる。
「おぉ、良い写真だ!本当にジャパニーズは器用だね。良い国だし本当に好きだよ。いつの日か日本で暮らすのが夢なんだ。ありがとう、もちろんお金はいらないよ!気をつけてね!俺の国を楽しんでくれよ!」
・・・ふむ。なんか普通に良い奴だったくさい。
なんかちょっぴり罪悪感。こういう人もいるんですね。
「もし良かったら君の写真を撮ってあげるよ?大丈夫、お金はいらない、日本人は特別だからね!」
まぁそう言うなら。絶対にお金は出さないよ?
「クールだよフレンド!次はそこに足をかけてみて、もっとクールな写真が撮れるよ!」
・・・ん〜、ここか?と思って足をかけてみたその瞬間が、
こちら。
・・・あれ?これアカンやつですよね?
ラクダも完璧なまでにプログラミングされているかのような、見事な連携で即行で立ち上がり、
僕の逃走を完全に無効化。
だからこうなりますよ。お願い降ろして下さいの図。
「へいフレンド、載せてやったんだから金出しな。」
もちろんそうなりますよね。
俺ビギナー過ぎる。
これらはもちろんラクダの兄ちゃんが撮ったものなんですけど、何回見ても笑っちゃいますよ。
ラクダさんの座り方が可愛いんです。
しかし重機の無い時代によく造ったものですね。これを造るために多数の死者が出たそうです。遠くから見ると大きさの判別が付きませんが、
実際の一つ一つのブロックはこの大きさですからね。どうやって運び積んでいったのか、世界七不思議の一つとして取り上げられるのも納得がいきます。
まぁ興味はそんなとこですかね。盛り盛り食べなさ〜い。
横から見ると結構シャクレてんすね。
彼はケンタッキーを見据えている、というのは本当でした。
カーネルサンダースさんもまさか彼に見つめられるとは夢にも思いませんでしたでしょうよ。
しかしこのピザハットも、このロケーションだから家賃いくらなんやろ?って古代エジプトの謎よりもそっちの方が気になっちゃって、僕のよっぽどの興味の無さにクレオパトラさんも驚嘆なんですかね。
<下巻>に続く