うんこのコーヒーを飲んだ日。〜爆笑のスマトラ島縦断-下-〜
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ラフレシア探訪
赤道を堪能し、この日の2つ目の目玉はコチラ。ブキティンギから10kmほどの小さな村にあります。
{いらっしゃい、アナタが来ることは何年も前から分かっていたわ。}
みたいな感じの妖艶なマダムがお出迎えです。やはり室内にはコーヒーの香りが漂っている。そう、ここは“幻”のコーヒーが飲める場所なのだ。
と、その前に、ここは更にあの、あの!
世界最大の花と呼ばれるあのラフレシアを見せてくれる場所でもあり、コーヒーの前にそいつを拝みに行くことに!
ちなみにラフレシアというのは、世界でここインドネシアとそしてマレーシア、フィリピンの3カ国でのみ生息する花である。
更に、開花したラフレシアを見ることはかなり難しく、もしも見れたら超ラッキー!なんだとか。なぜならこの花、
花を咲かすのに2年、しかも咲く時期は決まっておらず予測は難しい。そして花が咲いても3日ほどで枯れてしまうんです。
スタッフによると今咲いてるよ!案内してやるよ!とのこと。
裏山を割りと奥まで歩いていく。場所を覚えておいて後で勝手に見に行っても大丈夫と思われる。
これ、珈琲の木だそうです。
実ってますね〜野生の珈琲を見られるなんて貴重ですよ。
こちらはシナモンです。削って粉々にするんでしょうね、香りはこの時点ではほとんどしません。
さて、15分ほど歩いて林に囲まれた空間に、鬱蒼と茂る緑の草の隙間に、隠れるように、でも目立ち過ぎて全然隠れられないほど真っ赤に燃えた世界最大の花、お目見えです。
どうでしょう、貫禄ありますよね。普通に美しい。
そして内部のニオイは本当に臭かった。
トイレのニオイと言われているようですが、完全にゲボのニオイでしたよ。内部に鼻を入れるくらいの距離じゃなきゃニオイはしません。
何年もかけて成長しやっと花を広げるも、わずか数日で枯れてしまう、なんとも儚くて切ない花。だからこそ咲いている間はウンと美しいんですね。
ちなみにこれもラフレシアで、場所の悪いところに生まれて咲くことができなかった模様。
これはツボミだそうです。
そしてこの花は葉っぱや根っこなどがない、寄生植物の中では珍しい全寄生植物というもので、寄生している植物からすべての栄養分を取るようです。
だから光合成も、土からの水分も必要無いんですね。
なので、ラフレシアってあのニオイで虫をおびき寄せて捕食すると思ってたんですけど、そうではなく、ハエ(蜂や蝶ではなくハエらしい)を誘って自分の花粉を運ばせるだけだそうです。ハエに自分の子孫を託してるってことですね。
発見された当時はその容姿からか、人食い花、なんて言われていたこともあるようですが、そんなことはありません。
儚くて切なくて、か弱くて美しい花、ラフレシアなのでした。お会いできて最高にハッピーでした。
幻のうんこのコーヒーとは
さてさて、その幻のコーヒーとやらに戻りましょう。それがコチラ。
実はこれ、うんピのコーヒーなんです。
え?あ、濁さなくても大丈夫なんですかね。一応は清純派の旅ブログを目指しているので、吉永小百合さんや堀北真希ちゃんなどにも読んでもらう想定で書いてるんで、そういった清純派女優さんたちに向けた配慮なんですけど。
え?読むわけねぇだろ?確かに。
実はこれ、うんこのコーヒーなんです。クッッソ面白いでしょ?
てかそもそもタイトルの時点で仲間由紀恵さんや松嶋菜々子さんは完全スルーですよね。でもコーヒー愛好家として知られる常盤貴子さんはこのブログを見る可能性がありますよ。
常盤さん、見てます?昔ファンでしたよ!ブンコースタイル楽しんでってくださいね!
さてこの珈琲。なんともこのマレージャコウネコという動物が食べた珈琲の実の、未消化の糞から採られるというのです。
その名もコピ・ルアク -Kopi Luwak-。
(現地では最後のKは発音せずコピルアッと言う)
コピはインドネシア語でコーヒー。可愛いでしょ?ルアクがマレージャコウネコの現地での呼び方だそうです。見かけはオースラリアのタスマニアンデビルみたい。
実はこのコピ・ルアク。
世界で最も高級なコーヒーの一つとされ、幻と言われるのは希少性ゆえに市場に出回る事はほぼ無く、なかなか手に入りにくいことからそう言われているそうです。
でも、あれ?普通に楽天やアマゾンとかで売ってるんですけど、ニセ物?まぁ時代が時代ですかね、しかしやはり価格は非常に強気ですね。
日本の喫茶店でも飲める場所があるらしいのですが、なんと一杯8,000円とかしちゃうみたいですよ。
それが?ここでは?価格はこの通りでございます。
一杯20,000!安心して下さい、円じゃなくてルピアですよ、200円以下です。
へっへっへ、それではね、頂いちゃいましょうかね。
まぁここであえて紅茶を頼んで帰宅っていうマダムの腰を抜かすシナリオも悪くはないと思ったんですけど、いくらなんでもそんなバカなことしませんよ。
コーヒーソムリエ?としてのメンツ
マダムは英語ペラペラで、部屋に招くと同時に、もう何百、何千回と同じことを繰り返したのでしょう、まったく噛むことなく機械的な感じでこのコピ・ルアクについての説明を始めます。
もうなんか機械的に聞こえつつも、ホントに私はこのコーヒーを愛してるのって感じで、この素晴らしいものをもっと色んな人に知ってもらいたいの、なんていう非常に高い意識をどこか感じ取れましたね。
といっても説明中に僕が考えていたことと言えば、カラ返事をしながら、<思ってみれば今コーヒー飲んじゃうと夜眠れなそうだなぁ。>です。
さぁこれが、世界一高級なコーヒー。
ピントがコーヒー本体を外れてコップのフチだけに合うという残念なミスを犯しているのは内緒ですよ。
マダムがかすかに笑みを浮かべながら、コーヒーを前にした僕を見つめてきます。
{まずは香りを楽しむのよ}
無言でそう言っておられる。
・・・ふむ。
なるほど。
ほぉ。
片方の鼻だけ詰まっていたのでもう片方の穴でしか嗅ぎ取れなかったんですが、
いつも飲んでる一杯12円くらいのインスタントコーヒーとは違う、ということだけは分かった。
「どう?」
口角は上がっているが眼力がさっきよりも強くなったマダムが感想を聞いてくる。
この奥深く、芳醇な、こう、鼻から脳へとダイレクトに行き届くような・・・もう、なんと言っていいのか、形容できないです、素晴らしいです。
みたいなことをとりあえず答える。
その感想が響いたのか、ニコッと笑顔を見せるマダム。
反応を楽しむためなのか、じっと僕を見つめ続けるマダム。
・・・ん〜〜。
いや、オラは自意識過剰だからな、見られてるように感じてるだけかも、そ〜っと目線をマダムのほうに・・・
うぉっ目が合った、確実に見てる。
見つめられるとね、なんかやりにくいですよね。
まずは一口すすって口内に含み、モゴモゴさせる。それはもうコーヒーソムリエのごとく魅せる。
{どう?}マダムから発せられる激しい眼力はそう問いかけてくる。
・・・ほぉ。なんかもう、凄いです。
<ん〜やっぱいつも飲んでるやつとは違う、だけなんだよなぁ>
五感すべてに伝わってくるというか。<苦いんだよなぁ>
もう、言葉には出来ない、こう、深い香りが迫って来る感じですかね。。
I can’t explain…
<マックスコーヒー飲みたい>
マダムの表情は余計に明るくなる。
・・・くッ、、やりにくいぜマダム、頼むから俺から目を離してくれ、、。
なぜって、目の前にある砂糖を大さじ5杯くらいブチ込みたいんだよ、、、!
もう彼女からしたら、こんなところまで一人で来るだなんてよっぽどコーヒーの事を愛しているのね、てな具合だろう。
真のコーヒー愛好家ってブラックで飲むのが常識、みたいなイメージが僕の中であったので、その愛好家を勝手に演じ続けるハメに。それになんとなくカッコ付けたい自分がいたのも事実なんです。
もう一口・・・クッ、、、苦い。。
なんならコーヒーフレッシュを2個入れたいくらいだ。
そんなマダムがやっと目を離した・・・!
チャーンスッ
さぱぁぁぁ
さぱぁぁああ〜
さぁぁああぱぁぁああ〜
チンチンチンチンチンチン
・・・ふぅ、これこれ、いつものいつもの。ミルクがあれば完璧なんだけど、この激甘いやつね。
もう砂糖の甘さがコーヒーの苦みをぶっ飛ばし、風味までをもぶっ飛ばしちゃうもう何でもええやんって感じね。
おっと、マダムがまたこっち見始めたぞぉ〜、セェーーフッ♪
・・・ぬ?
マダムの表情がさっきとは、、違う・・・ヤバイ、砂糖が極端に減っていること、そしてスプーンの位置が変わっていることに気付いたか?とんでもないケアレスミスだぞブンコー!
すなわち、俺がコーヒーに対して1ミリもこだわりが無く、とりあえず甘けりゃOK、業務スーパーの一つ26円の缶コーヒーで十分なことに気付いてしまったか!?そりゃかっこ悪いぞ!
いや、どうやら気のせいだったようだ。なんとか見掛けのメンツは保てたようだ。
こうして、世界で一番高級な幻のコーヒーは、世界一飲ませるに値しない男の胃の中へと流されていくのであります。
僕はただただ、ウンチから作る幻のコーヒーを現地で飲んだぞ!っていう事実だけでいいんです。コーヒーへの期待は、甘くて頭がシャキっとする、これだけです。マックスコーヒー飲みたい。
そんな男に貴重な珈琲の味わいなど、分かるはずがないんですよ。
常盤さん、ここまで読んで頂きありがとうございます!こんな僕が高級なコーヒー飲んでごめんなさい。
さてさて、大満足の濃厚な一日でした。この他ここブキティンギには、インドネシアのグランドキャニオン!なんて呼ばれる、言い過ぎ感満載な渓谷が近くにあったり、太平洋戦争中に日本軍が造った防空壕なんてのもあったりと、とにかく見どころが盛りだくさんの町です。
もちろんここ、西スマトラ州の(ミナンカバウ族の)伝統料理であるパダン料理も安く頂けます。
このように注文をするのではなく、席に座るとスタッフがポイポイと小皿を並べてきます。
オイこんな食えねぇよ、ではなく、選んだものだけを頂いていきます。
手を付けないものは下げられていきます。なんだか手間のかかるスタイルですね。
ココナッツミルクの濃厚でまろやかな味わいとスパイスの絶妙なハーモニーがあなたの脳みそを刺激するでしょう。素晴らしく美味しいです。
泊まっていた宿はHello Guesthouse。
当時ドミトリー75,000ルピア(約750円)、Wi-Fiホットシャワー、コーヒー紅茶飲み放題の朝食付きでした。オーナーは英語ペラペラで、僕が瀕死の状態で到着した際には風邪薬をくれたりと凄く親切にしてくれました。
それと先ほどのコピ・ルアクの店と連絡が取れるそうで、写真にあるようにラフレシアが咲いているか否かを確認してくれます。おすすめの宿ですよ。
さぁ大満足のブキティンギから次回は、更に島を北上して行きましょう。
(この記事は2014年11月14日〜の記録です)
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