Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険コメディロマン

<上巻>ガイコツだらけの悪名高い村で受けたもてなし。〜バリ島 風葬の村〜

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前回

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心地良いそよ風に当たりながらバリコーヒーをすすり、牛と鶏の鳴き声をBGMにのんびりと情報を集めている。


ここは6日間滞在したクタから北へ約30キロほどの町、ウブド(Ubud)
クタよりも標高が高く、朝晩は清々しい爽やかな空気に包まれている。

情報収集していたのは「バリ・アガ」と呼ばれる、ここバリ島に住む先住民族について。
どうやらそのバリ・アガの主な村は3つあるらしく、その一つにとても興味を惹いたんです。

 

風葬の村 トルニャン(Terunyan)」

 

風葬とは字のごとく、遺体を焼いたり(火葬)埋めたり(土葬)せずに自然に風化させる葬法。
バリでは火葬が主流なのですが、この村だけの独自の文化のようです。

風葬。初めて聞いた言葉。


村ではその葬られた人のお墓が公開されていて実際に見れるらしい。
これには僕の好奇心を抑え込むことは難しい、行かねば。

 

村人と訪問客との金銭トラブルが絶えない.。
閉鎖的な村で、バリ現地人でさえ近付きたくない村。

なのでガイドを雇って行った方が無難。
などなど悪評高い情報もあるが、それもまた僕からしたらワクワク度を加速させる項目でしかない。

 
でもちょっと待て。
ただでさえ不気味な風葬とか、タチの悪い村民がいるだとか、それに反して



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村の名前の予測変換が可愛い過ぎる。



さっそく宿のバイクをレンタルし、村へ向かう途中の見所にも立ち寄りながら出発しますよ。ウブドから更に北へ、標高をガンガン上げていく。

 

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道路の真横にコンクリートで出来た学校の校庭(?)。コケたら痛そう。左の少年は放尿中。

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道中の小さな村でもジャングルに囲まれた立派なお寺がありますね。

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なにこれメタギア?




・・・おいおい。


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こりゃすっげぇぞ。

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ウブド出発からたった15分、しょっぱな息を呑んだ光景。
ここはテガララン(Tegallalang)という村にあるライステラス(棚田)。

僕のバリのイメージは海ではなくまさにこの田園風景でした。バリ島は稲作に適した環境で、年に2回、3回の収穫もできるそうです(日本など基本は年に1回)。

バリには他にもたくさんの棚田がありますが、ここが随一の美しさでアクセスも良く、毎日多くの観光客が訪れるようです。眺めバッチリなレストランやカフェが軒を連ねています。しかしこの時はまだ午前中の早い時間だったので、ほとんど人がおらず静まりかえっていました。

この静けさがまた、棚田を神々しく見せてくれる。
風が揺らす木の葉の心地良い音だけがこの空間を包み込み、優しい雰囲気をも醸し出します。

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棚田は能登半島など日本でも見られますが、やはりこのヤシの木とのコラボが南国にいることを実感させてくれますね。何時間でも見ていたい景色です。

ニセ警官?と米粒のおばさんと、ピンハネするオヤジ

 

バイクだと少し肌寒いくらいの標高にまで上がって来ました。
そこへいきなり一人の男が僕にピッタリと横付けしてきたんです。




「ヘイ ミスター!」




え?



「ストップ!ストップ!」




・・・何でだよ。無視。




「ポリス!ポリス!」




・・・うそん?いやいやいや、いきなりですか?

 

 

当時のバリはバイクでの外国人に対する取り締まりが非常に多いことで有名でした。
それはノーヘルであったり無免許だったりするため。それは単純に理解できますが、中にはヘルメットを被っていてもあご紐をしていない、よく分からない速度違反などなど、色々イチャモンつけて罰金というかワイロを要求してくると聞きます。

罰金の額は数千円レベルらしいですが、要は小遣いが欲しい腐ってるポリスがたくさんいるのです。

つい最近までは国際免許は使えなかったようですが、今は使用可とのこと。
しかし、それを知らないポリスがいたり、知らないフリをする奴もいるとか。

実際クタで全然ポーカーフェイスの神様じゃなかったバイクタクシーのマデにも忠告されていました、一人で行くと警察に捕まっちゃうぞ!と。あれは単なる脅しではなかったのか。


まさかこんなにも早く対面するとは思っていませんでしたわ。


しかし逃げればいちいち追いかけては来ない、ということをどこかで知っていた僕はこのまま走り続けようと考えます。どこまで付いて来るかな、一緒にトルニャンまで行っちゃったらウケるなぁ〜なんて想像、至って冷静でありました。


「ヘイ ミスター!!!ストーップ!」


あまりにシツコイので男をよく見てみると、私服姿でした。どう見てもポリスな雰囲気ではありません。

僕は国際免許も持っているし、ヘルメットも顎紐もしっかり締めている。速度も出していない。
捕まる理由が無い。冷静さはそこにありました。ということで止まってみます。


すると男は言います。にっこり笑顔で。


「ミスター!どこへ行くんだい?」

40代くらいの現地人っぽい男性。やっぱりポリスではないようだ。じゃあ何ですか?



「この先10分ほど走ったところでポリスが検問しているぞ!1時間ほど時間を置いたほうがいい、捕まるぞ!」


ブロークンイングリッシュだが、何を言ってるかは分かった。


そうか。
彼はこの事を伝えるために、わざわざ僕を呼び止めてくれていたのか。なんて親切な人なのだろう。。









とっても怪しい。


彼は話を続けます。

「捕まりたくないだろう?このすぐ先を左折した所にカフェがある。そこでコーヒーでも飲んで行きなさい。」

彼はそう提案したのですが、僕はここら辺で時間潰すからいいよとお断りしたんです。

すると彼は何も言わずに黙って来た道を引き返して行ったのでした。何だったのでしょう。

その後、慎重に20分ほど進んでみたがポリスなどいませんでした。
彼はカフェの関係者だったのでしょうか、そうとしか思えないのですけど。とりあえずホッと一安心。

 

 

しかし次は、一人の女性が道のド真ん中で手に何かを持ちながら仁王立ちしています。

・・・今度は何だ?と思いながら彼女を避け通過しようとすると、やはり立ちふさがって来たんです。


「セレモニー!セレモニー!」


そう彼女は連呼し手に持っていた籠から花飾りみたいなもの取り出し、それを勝手にバイクに飾り付け、更には濡れた米粒を僕の眉間にペタペタと塗り付けてきた。


うほッちょうど小腹がすいていたときだったからな、お米が欲しかったんだよね〜ってバカお前。


何だよこれーッ!と米粒をペリペリ取り除きながら抵抗すると、


「マネー!マネー!」とせがまれる始末。


払うわけねェだろこの妖怪こめ粒ババァよ水木しげるロードでやっとけ!

日本語でまくしたて突破です。

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やれやれと到着した、ウブドから約30km、標高1,500mに位置するキンタマーニ(Kintamani)という村。
ここ一体はキンタマーニ高原としてバリ有数の避暑地であり、メジャーな観光スポットなのです。

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もうこのキンタマーニとかいう地名が僕ら日本人からしたら楽しくて仕方がないですよね。沖縄にある漫湖って名称もどうにかしてほしいのですけど。・・・すいませんこんなブログで。

このゴールデンボールじゃなくてキンタマーニというのはサンスクリット語で、キンタは思考、マーニは珠で「意のままに様々な願いを叶える宝」という意味を表すらしいです。 

 

・・・よく分からないけど、やっぱりマーニが珠(たま)だからそのまま金玉じゃん、日本語のキンタマという言葉はサンスクリット語から来てたりしないよね?偶然なんですか?

 

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他の途上国にもよくいる風船売りのオッチャン。

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トイレを借りようとしたら5,000ルピア(50円)と言われましたよ。我慢するわ。

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村の北側からは爽快な眺め。目的地であるトルニャン村はあの湖の対岸側、もうひとっ走りです。



しかし宿で借りたバイクは想定内、期待を裏切らない燃費の悪さでした。

実は速度計も距離計もぶっ壊れていてピクリとも動かない。
ゆえに今、時速何キロで走っているのかも分からないし、リッター何キロ走れるのかも分からない。
でも明らかに満タンの状態からの消費が激し過ぎるのでこれは少々問題です。

 

こまめに給油していこう、と立ち寄ったガソリンスタンドのオヤジがまたウザかったんですよ。

「日本人か?どこへ行くんだ?」と、初めは気さくなオッチャンだな〜くらいに思ってましたが、「日本円が好きなんだ、円で払ってくれないか?」とかワケ分かんないこと言い出すしコイツわざとお釣りを少なくして渡してくるんです。

こういう事例はとても多く、実際クタの両替所で3回両替をした内の3回ともピンハネして渡されましたからね。
いずれも10円、20円くらいの微々たるものだったが、許される行為ではありません。

店員の目の前でシッカリと数え、足りないことが分かれば強気で主張すれば黙って返してくれますが、バレても大きな問題にならないようにチマチマと小額紙幣をポケットに突っ込んでる感じが姑息ですね。

僕らツーリスト一人一人がシッカリ確認して強く発言していかないと、これは無くならないのではないでしょうか。いや、そういうもんだと割り切るものなのか。



今回はそのガソリンスタンドで受けたケース。
ルピアはケタが大きく、お釣りが多い場合は目が慣れていないと勘定するのに時間がかかってしまうんですよ。

やっと計算していくと、明らかに足りていない。

おーい少ないよー!と言うと、オヤジはニヤニヤしながら黙って不足分を返してきます。


するとまだ、足りないのです。



よぉオッサン、おめぇオラがチビだからって舐めてっと、右の拳が火を噴いて痛い目みるぜ?おっと、ここはスタンドか、火気厳禁だな、気を付けな。

と日本語で軽くキレてみたら観念したのか、全部返ってきました。しょーもないオヤジです。


いやはや、まだウブドを出てたったの数時間だというのに、カネに絡む出来事が3件も。なかなか面倒くさいぞインドネシア。でも、この攻防もまた楽しいぞインドネシア。自分のお金は自分で守らねば。

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ちなみにガソリン(Petrolペトロール)は道端でも瓶やペットボトルに入れて売られている。


とにかくめんどくさいイベントに絡まれたキンタマーニの山越え。
もう何事もなくトルニャン村へたどり着けるのか。

<下巻へ続く>

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