Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険コメディロマン

自分で起こした小さな奇跡。~北欧ヒッチハイク-下-~

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前回

bunkohstyle.hatenablog.com

 

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ヒッチハイクという名の善意を受ける移動ながら意思疎通がうまくいかず、目的地からそれてしまうといういきなりの事件。

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分岐点へ戻ろうかと5分くらい考えたが、やはり僕は戻るという行為が例え正しくとも嫌いなのである。
前を向け、遠回りでも良いんだよ、これも何か意味のあるハプニングさ。あ〜あ、面倒くせぇ。


急遽ボードに行き先を書き換え、降ろされた場所で実に2時間、冷たい風に吹かれながらも立ち続けて3台目。優しい仕事帰りのお兄さん、乗車時間は20分ほどの短距離だったが感謝感謝。

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時刻は夕方6時。日の入りが夜10時とまだまだ粘れるもののこの日は妥協する。いやいや、初ヒッチハイクで3台は上出来でしょ。といっても全然距離は稼げてないというかむしろ遠回りで目的地までが伸びちゃったけど。

野宿し放題の郊外で肌寒い一夜を過ごす。

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ポツポツとテントを打つ雨で目覚めた翌朝がまぁ大変。まずビチョ濡れのテントを片付けなきゃいけない時の絶望感ですよ。たたみにくいし重いし濡れるし冷たいし汚いし。

からの、雨とヒッチハイクの相性の悪さ。
そりゃそうですよね、小汚い男が雨に濡れてもっと汚いんですから。誰がそんな奴を乗せたいでしょうか。

一気にやる気が失せて早くもバスに逃げようかと考えるも、幸いにも小雨になってきたところで立ってみる。



2時間。

ヒット無し。寒い、つらい、クソ。

 
少し心が折れてきたところで一旦マクドへ逃げ込む。真剣にヒッチハイカーを卒業というか落第というか退学を考える。しかしやめようにも、ここは町から遠く離れたハイウェイのサービスエリアみたいな場所。いずれにしろここを出なきゃならない。

またまた幸いにも雨は止み、再度チャレンジの1時間。お仕事で移動中のお兄さま4台目をやっとゲット。暖かい車内に温かい紅茶を頂き涙が出そうになる。

これ雨が強くなっちゃってたらどうなってかな、もうずっとここから動けなかったのかもしれない。

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「イェーーイ!!Have a nice trip!!!」

車の通りが多くて、停車できるスペースがあって、かつドライバーに乗せようか否かを考えさせることの出来る数秒間が重要。

次の町ではそれを徹底的に意識し、片側3車線の信号のある交差点に立つ。信号が赤で待っている間に考えてもらうのである。

停車中の車すべてが僕に注目をしている。人前に出るのは得意ではなくむしろ苦手だが、やるっきゃない。


1時間後、5台目となる日本食が大好きなオジサンをゲット。その瞬間ですよ、実は交差点の角には全面ガラス張りのピザ屋さんがありまして、だからヒッチハイク中の僕が店内から丸見えなワケです。それでヒッチに成功した時にその店のスタッフ一同が僕に祝福してくれたんです。なんか素敵でしょ?

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・・・これアカンかも、助けて。。

また一つ分かったが、掲示する場所は遠いところよりもあえて近い町を書いた方が停めてもらえる確率がグンと上がる。「その近くまでは行くよ」よりも、「そこ通るから」のほうがドライバーも分かりやすい。そしてもしもその車がもっと先へ行くのならば、そのまま乗せてもらって距離を稼げばいい。

その戦法にしたからか、あら不思議、10分でゲット。田舎町で乗せてくれた6台目はイラク人のお二人でした。

しかしこれが怖かった。

乗車中はまず自己紹介をして、あとは大体お互いの国や旅について話しをしたりするのが鉄板。がしかし、挨拶もそこそこに、なにやら彼らは二人で小声でゴニョゴニョと話し出す。それはスウェーデン語でも英語でもなく、イラクだからアラビア語だろうか、理解不能

しかも、バックミラーで後部に座る僕をチラチラと見ながら。


<・・・なんかイヤな予感がする。>


イラクという時点で、なんとなく危ないという先入観があったのも事実。戦争中だし?イスラム国だし?

そして彼らが僕に投げ掛けた次の言葉に、完全に固まった。




マリファナ持ってんだけど、吸うか?ほら。」



・・・いや、結構です。。


<これアカンくね?このまま誘拐されて身ぐるみ剥がされるんじゃね?やばい、降りたい、助けて。。>


そんな割りとガチで危険を感じた数十分だったが、普通に掲示した場所で降ろしてくれた、きっとたぶん良い人たちなのでした。おしっこチビりそうでした。もちろんスウェーデンでは大麻は違法である。


また一つ分かったが、今回こそ何事もなく終わったけど、やはり100%安全なはずは無いヒッチハイク。相手の善意を頂く移動方法だけど、でも、なんとなく色んな意味でヤバそうだと感じたら、こちらから断る勇気も必要だということ。

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「ウェルカム トゥ マイホーム!」

さぁ気を取り直してお次もなんと、10分足らずでゲット。7台目は素敵パパ!更になんとなんと今夜はウチに泊まってけというお誘い!ぜひに。


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え、これなの?大自然の中にポツンと、閑静な住宅街どころか閑静の限界を超えてきた場所。

 

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玄関の目の前がこれ。スウェーデンで2番目に大きい湖、ヴェッテルン湖(Vättern)に面したまるで別荘のようなお家でした。ちなみにこの湖、良質な水で有名らしく、処理を必要としないそのまま飲める世界最大の湖だそう。

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うわぁ、なんか映画で見たことあるような室内。家具はやっぱりもちろん、ここスウェーデン発祥のIKEAである。


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電化製品も最新かと思いきや、ブラウン管のテレビだった、というツッコミはしません。いやいや、やっぱ別荘みたい。ベランダからはより壮大に湖を拝める。

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家に着いたのは夜9時。外はまだ明るいとはいえ夜分遅くに申し訳ない。それから夕飯まで頂いてしまった。


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翌日はフカフカIKEAのソファーベッドで目を覚まし、ヨーロッパっぽい朝食をご家族と一緒に。素晴らしい一夜限りのホームステイでした。


夕刻からのヒッチハイクに成功するとそのまま家に泊めてくれる可能性が高い。

ブンコーはまた一つ、学習したというかテクニックを身に付けた。

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「夕方にはまたここを通るから、もしもキミがまだここにいたら、今夜もウチへ泊まるといいよハハハ!グッドラック!」

泊めてくれたパパが近くのショッピングモールまで送り届けてくれた。もう至れり尽くせりで何も出来ない自分が悲しい。っしゃ、今日もやるぜ。

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・・・ここで最長記録となる4時間を、僕は待ち、立ち尽くしていた。

いくつか場所を変えても、変えても。地べたに置いたバッグの影が向きを変えていく時の流れに、焦りを感じずにはいられない。


俺はもうここから出れないのではないか。いやいや、この町には電車が走っている。なんならこれでコペンハーゲンなんて数時間で到着である。・・・べつに金欠でもなく、むしろまだ潤沢にあるし、なぜ俺はここまで苦しむのか。



・・・ストイックなのか、あるいはただのバカなのか。いや、ストイックなバカなのだ。キツくてツラくてもその時は歯を食いしばれ。この時間がのちに、一生話せるネタに変わる。俺の人生はネタで出来ているのだ。あ〜あ、普通の人になりたい。


そうつぶやきつつ、MajiでKokoro折れる5秒前で奇跡の8台目。






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また素敵親子でした。スウェーデンてきっと家族仲が良いんだろうな〜。しっかしこの娘さんのシャンプーの良い匂い。

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・・・は、、はなやま、、かおる。。ッ。。

9台目は日本のアニメ好きなお兄さん!とても気が合ってすぐに友達になれましたよ。カレーライスをご馳走になり、そしてとある秘密の場所へ連れてってくれたのです。

そこは町の郊外、ハイウェイを下りて現地人しか知らないような田舎道を進んだ、とある建物。そこで彼に写真はNGだと言われる。どうやらここは大麻を吸って楽しむ感じの場所だそう。そしてセクシャルなんたら・・とか言ってたから、おそらく乱交パーティとかも?玄関の傘立てにムチが置いてあって吹いちゃった。彼もたまにここへ遊びに来るらしい。

10畳ほどの室内はベッドが4つ置かれていただけで、かなり質素。残念ながらその日は人が集まらないようで、そそくさと退散しようとしたその時。僕らと入れ替わるようにやって来た男の姿を見て、背筋が凍っちゃった。

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・・・花山薫やんけ。


完璧なる実写版の、しかも白人バージョンの花山薫にクリソツの大男が、まさに真っ白のスーツを着て現れた。



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背後からのフルパワーの右ストレートの不意打ちに成功したとて勝てそうにない。

見た目がこのまんま。殴り合いには相当な自信があります僕ですが、この人を見た瞬間に、<あ、これアカンわ。>ってなった。


ニヤリと挨拶を交わした際には殺気を感じましたよ。この人も乱行パーティに参加するのでしょうか。激しすぎてベッドどころか建物が崩壊しそう。それになにゆえの白スーツなのか、普段着?コスプレ?

とにかく謎の多いひと時でした。

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楽しい時間はあっという間。ヨンショーピン(Jönköping)から一気に距離を稼ぎヘルシンボリ(Helsingborg)へ。

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ここから予定を変更し、フェリーで対岸へ向かうことにした。たったの20分で到着するそこは、対岸は対岸でも、国が違うんですよ。そう、デンマークなのです。

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海路で国境を越える。なんてロマンチックでしょう。

日本のパスポートはシェンゲン領域内の国同士であれば国境検査は必要ない。なので、東京から埼玉へ行くってな具合で自由に行き来できる。それでも言葉もお金も文化も変わっちゃうので、世界は不思議だらけですね。

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港の街からはヒッチを放棄しサクッと列車で首都のコペンハーゲン(København)

泊まった宿はなんと60人ドミトリー。と言っても、仕切りがあるので気にならず。現在は閉業した模様。ここで世界一周ファンのあいだで知る人ぞ知る、忍者の格好で旅する女忍者さんに遭遇しましたよ。彼女とはその後に2度も再会することに。

女忍者の世界一周 entonces | アラサー女が好きなことを発信するブログ

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ほいほいコペンハーゲンと言えばコレ。世界三大がっかりスポットの一つと呼ばれる人魚姫さん。しかしがっかりだなんて、どこの誰が言い出したの?全然がっかりしませんでしたよ、だって1ミリも期待してないもん。

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そうですか、そうですね、綺麗は綺麗ですね。

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この写真はスウェーデンデンマーク、どちらでしょうか?という問いに即答できる人っているの?同じ景色すぎてヨーロッパの楽しみ方が分からない。

コペンで唯一楽しんだ事は、スーパーで半額になったパンを見つける作業だったという切なくて紛れもない事実。

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ほいほい50時間にも満たないデンマーク滞在。サックリと再びのスウェーデンヒッチハイク旅の初めに掲載した町、マルメ(Malmö)

10台目に優しさを提供してくれたのはトルコからの移住者!

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ガンガン行くぜ11台目の親切はまたも素敵パパとシャンプーリンスの香りがたまらない娘さん!の、オープンカー!!

マルメでは事前にチェックしていた良いポジション。そこはまさに15分でゲットの好立地。

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そして同じ位置でまさかのエストニア人の女性ヒッチハイカーと遭遇し、同じ車に相席。やはりヨーロッパはヒッチハイクのメッカである。

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素敵パパにはランチからソフトクリームまでご馳走になってしまい至れり尽くせり。ここまでしてもらって自分は何が返せるのだろうか。自己嫌悪に似た感情が渦巻くが、でも、楽しくおしゃべりが出来て、彼らもきっと素敵な時間だったに違いない。それで良いのではないだろうか。

返し足りなかった分のその優しさは、親切さは、他の人に回そう、与えよう。

 

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なんて素晴らしき移動手段、ヒッチハイク

キツイことも多々あるけど、バスや電車移動では起こり得なかった沢山のイベント。すべては勇気を持って自分で起こした奇跡。物語は勝手に作られるものではなく、自分で創るものである。

何度も言おう、移動こそが、旅の本質なのだ。


さて、次回はコーヒー片手に列車旅だよっと。いいんだよヒッチハイクは1回やれば。しんどいもん。若いうちに一度はやっておくと良い。オッサンになったら誰も乗せてくれないから。


北欧3カ国ヒッチハイク旅のラストとなった12台目はなんと、ノルウェー在住の台湾人の女性でした。小汚い男性ヒッチハイカーを女性1人のドライバーが乗せることは極めてまれである。そこは同じアジア人の血が通じ合ったのだろうか。とにもかくにも、乗せてくれた、優しさを与えてくださったすべての人に、感謝感謝である。


さて、北欧の旅の大本命、冒険の舞台、ノルウェーへ上陸だ。


次回
bunkohstyle.hatenablog.com

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やってみて分かったヒッチハイクテクニックまとめ

●ハツラツとした表情で、ドライバーとアイコンタクト。
●立つ位置はドライバーに乗せるか否かを考えてもらう時間と、停車できる場所を念頭に入れる。
●ボードに掲示する町はあえて近めの場所を書いて刻んで行く。
●停まってくれても断る勇気が必要。
●夕刻時はそのまま家に泊めさせてもらえるかも。
●ヒッチウィキを存分に活用せよ。→Hitchwiki: the Hitchhiker's guide to Hitchhiking