【空前絶後の】シドニーで衝撃の対面。お前は一体誰なんだ!!!!
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この記事は旧ブログで既に公開したものですが、反響が大きかったため加筆し臨場感をプラスしてリメイク。こんな展開が現実に起こりうるのか、という衝撃のエピソード、ご賞味ください。
2013年12月30日
─────── 物心が付く前から父と母は離婚していて、姉が1人、母と僕の3人で暮らしていた。11歳も離れた姉は現在結婚し子供もいて、幸せな家庭を築いている。同じ血の通った甥っ子ってのは本当に可愛いものだ。
父とは2年に一回会うか会わないかくらいで、僕の誕生日とか、ごく稀にメールが来るくらい。
その父は他の女性と再婚している、という事実を知ったのは、まだ3年ほど前。衝撃的だった。それを知るまでは、あの人はずっと一人で暮らしていると思っていたから。
母も姉も父についてはずっと前から知っていて、べつに僕に気を使って隠していたワケでもなく、ただ単に伝えるタイミング、あるいは言わなくてもいいと思っていたのだろう。
それを知った際には憎しみなどが生まれるはずもなく、再婚していようがいまいが実の父親に変わりはないし、幸せになる権利は誰にだってあるはずだ。この旅の事も父には伝えており、出発前に餞別を頂いていた。ありがたい。───────
プルルルルル・・・
ケアンズから東海岸を縦断する旅、はてはオーストラリア大陸一周の冒険をスタートして3ヶ月ほど。この国最大の都市、シドニーへ辿り着く。
その3日目のことだった。こっちで調達した携帯電話に見知らぬ番号からの着信。
無視。
英語分かんないし、電話で喋るとかもっと分からんし、そもそも気味悪いし。
翌日は気付かなかったが、またその番号から2回も着信があったらしい。
とりあえず無視。
と言いつつも気になり始め、考える。番号は、02から始まっている。・・・それはなんの疑念も不思議もなく、オーストラリア国内からの番号である。
<まぁこっちから掛け直すのも面倒だし、次に掛かってきたら出てみるか。>
<誰だろう、こっちで買った携帯の番号なんて、まだ4人くらいにしか教えてないけど。その内の3人は日本にいる身内だし、あと一人はケアンズで出会った友達。>
<あ、でも今まで泊まった宿のいくつかには教えてるか。もしかしてどこかの宿で何か忘れ物をして、それを教えてくれてるんじゃないか?>
翌日。
<来た、02の着信。>
さすがに出てみた。
・・・Hello?
「・・・あ、もしもし。」
・・・日本語だ。日本人で、男性だ。
相手の最初の受け答えで僕の脳みそはフル回転する。
<日本人・・・??>
先にも書いたが、こっちへ来て自分の番号を教えたのは4人。一人は友達。あとは母と、義理の兄(姉の旦那)と、父、だけ。
身内からだと国際番号だから02で始まらない。友達とは番号は知っているもののほぼ100%、facebookで連絡を取っている。そもそも、知っている声じゃない。
<あ、分かった。やっぱどっかの宿で忘れ物か何かして、ちょうど日本人の旅人が来たから、俺の英語力がカスなんでその客に電話させてんだろ。それだ。>
相手の第一声から6秒。僕のヒラメキは海馬を経由し大脳皮質を巡り、記憶との会議を経て、70%の自信と共に答えを導き出す。
・・・はい、えっと、どなたですか?
「ブンメイと言いますけど、」
「ブンコーさんですか?」
再び僕の脳みそは再起動。今度は記憶と対立する。
<あ、そうか。ケアンズで泊まった日本人宿の誰かだろ。>
<・・・いや、でもその宿では番号は伝えてあるものの、短期間だったし大して他の住人とも絡んでいなければ、誰も俺の下の名前は知らないはずなんだが。>
まだ初めての海外だったので、自己紹介ではファーストネームではなく苗字で「中島です。」と名乗っていた初々しい頃。だからその宿では、僕の下の名前を知る者などいない。
更には、ブンメイ・・・??
<そんな変わった名前の人間なんて、もし会っていたら覚えているはず。>
<あ、もしかしてもしかして、俺のブログを見てくれてる読者の方が、どうにか番号をゲットして、お会いしませんか的な誘いかな。ブンメイってなかなか面白い匿名やん。>
相手の名乗りから9秒で、僕の脳は1%の期待と、99%の自信の無い推測を無理やり弾き出す。
・・・はい。えっと、すいません、誰?
「・・・あの、ちょっと頭がこんがらがるかもしれないんですけど、」
「俺、」
・・・・・。
<・・・コイツ酔ってんのか?あるいは頭おかしいの?>
<俺には一人の姉がいる。おとうと?・・・お前は一体誰なんだ!?>
「・・えっと、◯◯◯◯(実の父親の名前)の、息子です。」
「なんていうか、」
・・・。
・・・・・。
<・・・そうか、そうだった。父は他の女性と結婚していて、更には子供もいたんだっけ。>
それはなんとなくフワっと聞いていただけで、詳しくは全然知らない。その息子だと言う彼の名前も、いま初めて聞いた。
・・・はぁ、、。そうですか。
・・・でもさぁ、えっと?
・・・どっから掛けてんの?
02は国内からの電話である。
「いま俺、シドニーでホームステイしてるんだ。」
「父さんから聞いた。お前のアニキが今、オーストラリアを旅してるって。タイミングと、気が向いたら会ってみたら。って。」
<・・・そういうことか。それで俺の番号も知ってるってわけね。>
年末にはシドニーへ到着したいってことも父には伝えていた。
そんな空前絶後の電話の末に、僕らは顔を合わせることとなった。
なるほどね。
こりゃ面白い。
すーーげぇ面白い。
待ち合わせ場所にはアジア人もたくさんの人混みの中だったが、一発で分かったぞ。
なんとなく雰囲気が似てるから。
(赤Tシャツを着て来いなんて一言もいってません。)
この世に生を受けて26年目。母親は違えど、半分同じ血が通う立派な「兄弟」と、オーストラリアで初対面という驚愕は驚嘆の展開。
・・・はじめまして。
「はじめまして。」
(↑兄弟)
え〜っと、何から話そうか?まずキミはいくつなの?
(↑兄弟の会話)
「今年19になったばかりだよ。」
・・・くっそ若ぇ。まさかの未成年きたこれ。
姉が僕と11個離れていて、37歳。姉からしたらコイツはもはや子供である。
父上、あんたの精子ってどうなってんの?毎日うな重でもむしゃぶり食ってんの?
これまでの生い立ちや趣味、好きなもの嫌いな食べ物、物事の考え方、将来の夢。ありったけ喋った。分析した結果、身体を動かすことが好き、という部分だけは共通している。勉強はできて、難関校を出ているそう。まだどこか赤の他人を相手にしているかのようだ。
ちなみに僕の名前を漢字にすると、文幸。
彼の名前を漢字にすると、文明。
「文」を残す辺り、やはり親父の子なんだろう。
ちなみに父は文隆である。祖父は文之助らしい。
19歳。進路に迷う時期のようで、兄貴として色々アドバイスしてあげた。
ブンコーイズムを叩き込んだぜ。
(自分の進路があやふやな26歳高卒のアドバイス)
今しかできん事をさぁ、やったらいいんちゃう?
(真面目なのかテキトーなのか以前に答えになっていないアドバイス)
そんなこんなで、まさに小説は映画みたいなシドニーでの出来事だったのでした。
ちなみに、彼にも一人の姉がいるそうで、つまりは僕には妹もいるということです。
異母兄弟。今の世の中そこまで珍しくはないだろうけど。その存在をフワっと聞いていた時、そいつと対面する日は来るのだろうか。あれか、お葬式の時かな。なんて思っていた。それが今回、まさかのシチュエーションで。
嬉しかったかな。
母親が違えど、やっぱり可愛く思う、「弟」なのである。旅が終わって落ち着いたら、一杯やろうじゃないか!まぁ俺はカルーアミルクだけどなっ。
・・妹。いつ対面するだろう?
2018年10月11日
衝撃の対面から5年。僕の旅が終わって1ヶ月後のこと。父方の祖母が亡くなり、切なくも本当にお葬式で、になったけど、「4兄弟」が初めての集結。
笑顔の初顔合わせに、おばあちゃんもきっと、喜んでいるはず。
赤の他人でもなんでもない、僕らは紛れもなく、「家族」なのである。
-完-
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