オヤジじゃなくてアイスクリームを下さい。~貧困とカンボジアと私~
この写"心"についてはこちら↓
【旅アート】自分探しの旅で自分は見つかるのか【オリジナル作品】 - Bunkoh Style -WorldWide-
暑くて暑くて、頭がフラフラしてきた。元から悪い頭なのに更にフラフラしちゃったら、どうなんのこれ?ゴミ?俺の脳みそゴミ?いやいや、どれくらいしんどかったかって、
この看板が本気でアイスクリームに見えちゃったくらい。
ね?遠くから見るとアイスクリームが3本並んでるように見えるでしょ?
それがお前、いざ近付いて見たらよぉ、
3人のオヤジだったんだよ。いらねっ。
前回
約2,800kmの激走でベトナムを制した僕は次なる国、カンボジアへと歩を進めた。
東南アジアはおろか、アジア全域の中でも最貧国の一つであるこの国。発展は著しいとは言われているものの、まだまだそれは大都市だけで、やはり地方の田舎はご覧の通り。
ホコリまみれのスリッパ、むしろ裸足で未舗装の道を歩いて通学する子どもたち。物を乞うわけでもなく、ただただ外人である僕に興味津々のようでした。持っていたガムをあげる事くらいしか出来ない自分の無力さと、この世の不平等さに胸が詰まります。
と言っても、もしかしたら、彼らのほうが先進国の人間よりも幸福度は高かったりするのかもしれませんが。貧しい=不幸という方程式は決して成り立たなくて、幸せって、何でしょうね。
華やかなベトナムから一転してインフラが落ち込む。
(左:氷を運ぶ人。右:オレンジのクーラーボックスを置く道端の商店。)
道端で売られている飲み物は冷蔵庫ではなく氷をブチ込んだクーラーボックスに入っています。それも氷は溶けきっていて全然冷えてないコーラしか無い場所も多々あり、暑い国では冷たいジュースがガソリンとなるチャリ移動には少々しんどいところ。
貧しい国だから物価は安い、とは言えないのが最貧国。ラオス同様に自国で生産する力がまだ乏しく、輸入に頼っているので特にジュースやお菓子などの嗜好品は高い。
こういうローカルな飲食店などは安く、一食100円ほどで頂ける。
(東南アジアではよくあるビニール袋でテイクアウトするお惣菜屋さん)
食に関しては、東南アジアの台所であるタイとベトナムに挟まれた国なんで、とびっきり美味しい、わけでも無かったです。無難にといった感じで特に特筆すべき点は見当たらず。
ラオスやベトナムに続きフランスの植民地だったため、やはりフランスパンもよく食べられます。
お仏壇のようなものにはパンとコーヒーがお供えされていた。
とある町で好奇心で頼んだ、ご飯バナナ載せ豚肉プレート。結局バナナをのけて、デザートとして最後に食べたんで、ライスの上に盛られた意味が不明のまま完食。
この国の少しめんどくさいところはお金。リエルという自国の通貨がありますが、アメリカドルが主要な通貨となっています。
大抵はドルで支払って、細かいお釣りがリエルで返ってくるという、不可思議な国なんです。もちろんリエルのみでも使えるけど、ドルで払った方が得な場合が多々あり。
(甘〜いマンゴーが4つで1ドル=約110円)
米ドルがメインだなんてはじめは知らなかったもんで、それだからATMでお金が下りなかったのか。機械が悪いんやろと思っていくつもの銀行をハシゴしちゃったよ。
そうなんです、ATMも米ドルが出てきます。リエルが出てくるんだとばっかり思ってました。
え〜っと、1,000リエルが日本円で大体5円で、1万円分下ろすから、「2,000,000リエル」っと〜。てな具合。そりゃ何度やってもエラーになるわけですよ、米ドルしか出ないんですから。
これホントに米ドルで出てきちゃったら大変なことになってたわお前。
(2,000,000アメリカドル=約2億3千万円)
有り得ないにしろ、ウッカリこれキャッシングされてたらどうなんのこれ?バックパックの隙間に入れてもキャパオーバーで、手にいっぱい抱えたまま外に出て、あっという間に集団強盗に遭うでしょこれ。
入国してからまず向かったのは、数年前に自衛隊が活躍したから、なのは不明だがタケオ(Takeo)という名の町。
特に見どころの無いローカル感が漂うところでしたが、ビックリ。ふらっと見つけた屋台でよく分かんない料理を注文したら、このお姉さん、サラサラっと英語を話すんです。カンボジアの公用語はクメール語。
失礼だけどこんな田舎でも、やはり他の場所でもカタコトだけど喋る人がいて、どうやらこの国は若者は特に英語教育が進んでいるようです。実際に学校教育というよりは、単純に英会話が出来たほうが就職にかなり有利らしく、自ら進んで学ぶんだとか。近隣諸国の中では特に英語が通じる国だと感じましたよ。
道中を走行中に現地の人と目が合うと、特にオジさんがニコ〜っと手を振ってくれることが何度もありました。陸続きだけど国が違うだけで、性格まで変わるのは面白い。タイやベトナムで手を振ってくれることなんて一度もなかったもの。
家の前で家族総出でエールを送ってくれる場面もありまして、これ実際にチャリ旅をしてると分かるんですが、特に疲れている時は本当に元気をもらえるんですよ。タイよりもほほ笑む国な気がする。
とっても斬新なバイクの積み方。
道路脇でよく分かんない野菜が売られていた。
首都へ近付くとお相撲さんがいた。
いやいやいやちょっと待てよこれ。誰かは存じ上げませんが許可取ってんのこれ?しっかし上手いことアイロン持たせましたよね。どうやらクリーニング屋さんの看板のようです。
えっと、彼の吹き出しには・・・
ぜんぜんフリーワイファイな顔じゃないよお前。
ワイファイスポットだけど出来れば使って欲しくない感じじゃんよ。笑いがジワジワ来るよこれ。そもそもクリーニング屋にWi-Fiがあってもお得感を感じる?とりあえず日本相撲協会にチクったろ。
タケオから1日かけてプノンペン(Phnom Penh)へ。
高い経済成長率を維持し続け、近代的なビルが続々と存在感を増しているこの国の首都。
今後はきっと、バンコクのようにビル郡を背景にお寺のコントラストが光る大都市になってゆくのでしょうか。
まだ数年前に日本のものと謙遜の無いイオンモールも登場し、ここで割りとお手頃な価格で日本食が手に入る。やっぱ日本のカレーって心がホッとしますね、それよりもこの米の量ってね。漫画かよ。およそ2.5合。
とある公園では、現地の人の憩いの風景。手前はおそらく路上マニキュア屋さん。それを受けるオシャレなお姉さん。帽子から足先まで、やはりどんな国でも女性は美しくいたいというのが本能なのでしょう。
ギャングが虚勢を張るエリアかと思ったら、これは銃撲滅のモニュメントだった。
約40年前のベトナム戦争や内戦により、未だに多くの銃が出回っていると言われるこの国。それによる強盗や死者も出ており、日本人が撃たれた事件もここプノンペンで発生したようです。このモニュメント、よく見たら銃口が結ばれてますね。
(近代的な建物を背景に、川沿いでは掘っ建て小屋のような家が立ち並ぶ)
カンボジアの平均月収は年々上がっているそうですが、現在は2万円ほど。手頃な価格で日本食が買える僕らだけど、言うまでもなく現地人の中でもそういう物が買えるのは、ある程度の富裕層の人たちだけ。
途上国の急速な発展に付随するのはやはり、深刻な貧富の差。平均月収は富裕層がガッツリ上げているはずなんで、それ以下でもっと以下の人がいるでしょう。
華やかな中心街から一歩出れば、見るからにカビのニオイがしてきそうなオンボロのアパート郡。場所によっては治安は良くはなさそうです。
(短パン一丁で裸足の少年が歩き回る。)
明日どうなるか分からないであろう人たちが当てにする、その内の一つが、敬虔な仏教国ならではのお坊さんです。
これは町を散歩中に偶然見つけたもの。何かのイベント?のようでした。
小学生くらいの子からオジサンくらいまでの僧侶がわんさか集まっています。
これはタイやラオスでも見た、托鉢(たくはつ)でしょうか。"徳を積むことで幸運がやってくる"という仏教の教えの元で、信者である現地の方々による品物を献上する習わし。このように食べ物やお金などを僧侶に託します。
両手いっぱいに献上された品物を持つ僧侶。大体はお弁当とお水のセットに見えます。この食べ物はすべて彼らが召し上がる、わけではありません。
貧しい人々に与えるのです。あくまでも信者は"献上すること"に意味があるので、その後の品物の行方は特に気にしないらしい。僧侶の彼らも困っている人に寄与することで徳を積むことになるのでしょうから、上手いこと徳のサイクルが生まれてますね。
真ん中の二人はそこまで貧相には見えないけど、目に付いた欲しそうな人にざっくばらんに渡しています。左のオジサンは、いわゆる奇形のかたでしょう。彼のほうがよっぽど切羽詰まってそうなんだけど。
出ました、小鳥屋さん。この僧侶のお兄さんお買い上げです、可愛がってくださいね。
って違う違う。これはなんと徳積み用の"商品"なのです。狭いカゴに閉じ込められた鳥さんをお買い上げして、逃がしてあげて徳を積みませんか。というもの。僕らからしたら正直なところ「???」ですよね、それを偽善と言うのではないか・・・?と。人間の勝手な欲望の為に捕らえられる鳥さんのことは考えないのかな。
なんて、深く考えてはいけません。それが宗教ってもんです、文化です、世界です。そもそも人間という生き物はみんな偽善者だからね、ってこの話もやめときますね。
(カラのペットボトルを拾い集める少年が、僧侶を、いや、社会をうらめしく見ているかのような、カンボジアの現状を表す一枚。)
人は何かを信じていないと生きていけない生き物だとすれば、彼らが信じる対象は社会(政府)よりも、仏教の心なのか。かといってもちろん、途上国の切っても切り離せない深刻な貧富の問題は、宗教でどうにかなるものではありません。彼らに幸があることを願うことしか出来ない歯がゆさを胸に、今日も僕は、不公平な世界の中の恵まれた環境を生きていくのである。
ちなみにラオスの托鉢はこちら↓
【下ネタ注意】絶対に顔だけはNGのラオスの水掛け祭り~巨人伝説のジャール平原と、いざベトナムへ~ - Bunkoh Style -WorldWide-
・・・仏教の神聖な習わしをあざ笑うかのようなこの記事の内容ね。すいません。でも皆さん真面目なものよりもこういう方が好きでしょ?ご覧ください。
前が見えないし息も吸えねぇ。
さて、プノンペンを出発し未舗装の道を砂まみれになりながら次の場所へ。
車が巻き上げる砂ぼこりが満載な道の脇で、屋台とかやってる。その店で出すスープのホコリの含有量はさぞ凄そうですね。
それにしてもまた出ました、遠くから見るとアイス屋さんかと思ってウキウキして近付いたら、3人のオヤジだった蜃気楼の看板。いらねっ。
・・・って、おや?
もしかしてアレは・・・ッ!!!
ちょっと!待って!!!
<あれは決して蜃気楼じゃないっ>
お願い!お願いだから行かないで下さい!!
<これは絶対に・・・ッ!!!>
やっやったぁ〜〜!気付いてくれた!
<オヤジじゃない>うんまぁい。
バイク移動のアイス屋さんです。オヤジ?いらねっ。
絶景かよ。これ一つ500リエル。日本円で13円というなんか申し訳ない価格。味も素朴でクーラーボックスを持ってたら中身ぜんぶ買い占めたいレベルの味わい。
これは別の日に捕まえた別のアイス屋さん。一本400リエル(約11円)。タダじゃねぇかよってね。3本むしゃぶりついちゃった。
しかしまぁ道が悪くて悪くて、このように車以外は砂の上を走ってください的な感じで、異物を踏んで毎日のようにパンクしちゃいましたよ。右の画像はタイヤが裂けて中のチューブが飛び出てくる原因不明の事故。
ゴミ捨て場で修理したり、よく分かんないけどトランプゲーム大会が行われている隣で修理してもらったり。
「なぁ分かるか?ここがよォ、ダメになってんだよ。」
みたいな事を現地語で言うておりました。自転車のこんな姿を初めて見ましたよ。
これは数日前からペダルがギシギシ鳴っていて、ある日とつぜん回転しなくなったのです。いや〜絶望でしたよ、前に進めないのですから。誰もいない何も無い道の真ん中でこんな状況に、、、
となることもなく、ペダルは町中でのご臨終だったもので、マッハで自転車屋さんへ駆け込みマッハで修理完了、という、やはり人知を超えた強烈な運力を誇るのが、私なのです。
なんだろう、この切なさ。
宿は町だけでなく道路沿いにもポツポツと見られました。ピンキリですが安いとこは一泊600円とか。言うまでもなくそういった安いとこはトイレがなんか切なかったり、部屋もお風呂もなんか切ないものになっています。
さて、文字数が膨れてきたとこで、最後がトイレの写真という切りの良いところで今回はおしまいです。次回はそうですね、カンボジアと言えば、なべタベタな遺跡をサクッと見て、ちょちょいと先へ行っちゃいましょう。興味ねェもん。
でもしかし、魅せよう、Bunkoh Style-俺式-の斬新な写真たちを。
次回