Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険コメディロマン

<上巻>【旅の終わりかよ】世界の果てで恋しちゃった日。


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<<!この記事はアフリカ縦断編とユーラシア編をミックスさせています!>>


2017年8月26日〜
 

前回のアフリカ縦断編

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ネックピローを膨らませるのに想定外の肺活量を要し、それにより頭に血が上り意識を失いかけている僕を差し置いて飛行機は安定の離陸。

アフリカ旅の前にシンガポールへ寄って行く。厳密にはマレーシアの国境の町のジョホールバルだ。

この町で会いたい人、そしてやり残した事があるんだ。


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久しぶり、ロジャー。約3年振りの再会。チャリを譲ってくれて僕のユーラシア旅の運命を変えた人。
今年で60歳を迎えた彼。本人も言っていたが動作も心なしかゆっくりになって結構老けましたね。


さぁ、もう一つ、ここでやるべき事をやらねば。



ユーラシア大陸最南端へのリベンジを ━━━━━━<ユーラシア編>━━━━


前回

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2014年12月26日〜


重い、重すぎる。これ、気を抜くとマジでウィリーしちゃう。

宿の皆に見送られ、なんちゃってチャリ旅の初日を走っている。
目標はバンコクマレー半島縦断だ!ガンガン北上や!いや、まず南下だ。


ユーラシア大陸最南端を制圧しに行くのだ!


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コロコロパッカーをいい事に、荷物は重めの20kg。
これを後ろの荷台一つだけで支えているのだからそりゃそうですよ。

普通はいわゆるチャリダーってのは両サイドに荷物入れるやつ付けてますよね、ハンドル側も。後ろだけだとちょっと気を抜くとウィリーが炸裂しちゃって暴れまわってしまうんです。

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最南端へは宿からは約70km。
ママチャリ旅の経験があったため、この距離自体は楽勝だと感じましたが、やっぱ荷物の差は大きい。

30kmほどで既に息が切れ始めますが、ご覧のようなパーム林に囲まれた道に変わり心は踊ります。

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林の隙間にカフェなんてあったりして、そこへ行こうと思えば行ける、チャリ旅の無限大の自由度。素晴らしい。

初日だからか体力の消耗がひどく、それと同時に空の雲行きも怪しくなってきます。
この頃はまだ雨季です。

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疲労で半泣きになりながらも到着した際には、遂に空も少しだけ泣き始めていました。
ここがユーラシア大陸最南端へのゲート、タンジュン・ピアイ国立公園

入り口の横にはドーンと「ユーラシア最南端」と書かれたモニュメントが建てられていますが、もちろん僕が求めていたのはこれではありません。

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ユーラシア大陸の端っこで一番メジャーなのは、最西端に当たるポルトガルのロカ岬という場所です。
首都から手軽に行けて観光スポットになっています。


それに比べここ最南端の寂れ具合はすごい。雨季ということもあるでしょうが、ネットにすらも情報は多くありません。

ちなみにこのポスターにもあるように、ユーラシアの最北端と最東端はロシア。
徹底的に調べてみたものの、最北端のチェルスキン岬はおそらく一般人は立ち寄れず、最東端のデシニョフ岬は陸の孤島になっており、ヘリを使うか、超高額なクルーズのツアーでのみ立ち寄れるみたいです。

これ四端を制覇できたら超カッコいいですよね。



さ、本格的に空が泣き始める前にご対面しとかなきゃなっと。
最南端ポイントへは入場料が必要で、外人は現地人の2倍以上を徴収されます。感じ悪いですね。


すみません、・・・?あれ?あの、チケットを。







「ソーリー、ここはしばらくクローズなの。」








・・え・・・?


なんかイヤな予感は当たっていた。



「ついこの前、嵐で最南端への橋が壊れてしまったの。いつ直るか分からないの、ごめんね。」









・・・嘘でしょ?


既に身体が疲れきっていた僕に更にズッシリと重い、憔悴にも似た錘が心にのし掛かった。



まだ信じられない僕は、なんとなくまだ希望があるような気もしながらも、ぼーーっと座り込んでいました。


中国人の父子の観光客も来たようで、必死に抗議っぽいことをしている。よっぽど行きたいのでしょう。

その様子をじ〜っと見ながら、抗議したって仕方無いよな。でも本当に絶対に行けないのかなぁなんて、なぜか頭の中はどうやったら行けるかというよく分からない思考回路がグルグルしている。



彼らは遂に折れたそうで、肩を落とし去って行きました。
その背中を視線で見送ったスタッフは次は僕の方へとその視線を向けます。
 

{行けないのよ、ごめんね。}

無言でそう囁かれているような、ちょっと申し訳無さそうな表情で僕に訴えかける。


・・・。


まぁ、しょうがないよね、うん。


いや、なんか、なんとも、うん。その表情がすんごい、





可愛い。



このスタッフ、もうなんというか、美人で可愛いのです。
 

それは置いといて、やっぱりどうしても諦めきれない僕は冷静に優しく問いかけます。
その壊れた橋までは行けませんか?せっしゃは日本を代表する先端好きなのじゃ、と。



すると?


{・・・んも〜〜ッ、しょうがない子なんだからぁ〜}

って感じで目は細めているものの口角は上がっていて怒っているわけではなく見える表情で、無言で受付けの奥へと下がり、すぐに戻って来た。




「special for you」
 
ニコッとした明るい表情でひとことそう言い、右手には鍵を握っている。


よし来た。オラの超強運砲が勃発しあっけなく第一関門は突破、その後の作戦はこうだ。

実際に橋の状況を確認、本当に絶対に行けないのであれば諦める。
なんとか行けそうなら、土下座してでも、その子にお金を出してでも懇願して強行突破する。

名付けて最南端特攻作戦。
 

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バリケードを二人でかいくぐり、ぺたぺたと奥へ進んで行く。
うひょっワクワクするでござる。期待感と高揚感で疲れは吹っ飛んでいました。
 

彼女の名前はアイザン。生っ粋のマレーシア人って感じでちょっと色黒で目がパッチリしたとても美人なイスラム教の子であります。現場へ向かう間に自己紹介したり、どれくらい旅をしているのか何処まで行くのかなどなど、とにかくアイザンからの質問攻めが凄い。
 

ですからもう、ここまで来れば誰でも感じますよね。


おやおや?っと。

もしかして俺に気があるんじゃ?と。


さっきの中国人はダメで僕だけスペシャル、いつでもニコニコ、積極的な質問(アタック?)。



・・・なんだか、あれ?


本当に可愛くて、えーっと、


なんだろう、楽しいなぁ〜。


 

・・・どうしたもんかな、これ。



ん〜〜〜〜。








 
きゅん。




<乙女かよ。シッカリしろお前>



━━━<アフリカ縦断編>━━━━━━━ ジョホールバルからタンジュンピアイまでバスで行く場合。

まずはラーキンバスターミナルからポンティアンへ約1時間、そこで乗り換え次はククップという町まで行き、そこからはタクシーで向かうのが一般的のようだ。

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鮮明ではないがこの道を自分の力で進んだという、確かに感じる懐かしさを感じながら難なくポンティアンへ。そこからは地元のバスになるはずなので、そこらへんにいる人にククップ行きのバスはどこか尋ねると、


「バスは無いぞ、タクシーで行け。」


皆そう言います。しかし彼らはタクシードライバー。だから信じない。
しかし一人まともそうなタクシーが、「バスはあるよ、でもいつ出発するか分からないからタクシーがいいよ。」と。

なるほど、人が集まるまで出発しない乗り合いバスか、面倒臭いからもうタクシーにするかな。

そう決めかけた瞬間、目に入ったのは思いっきりククップと書かれたローカルバスが発車する姿。



慌てて飛び乗る。





やっぱタクシーって世界的にクソッタレですね。


普通に乗り合いでもなんでもなく1時間に一本出てます。
と言っても、どうせククップからタクシーで行くならここから乗っちゃってもいいと思う。

30分ほどで到着。

一応タンジュンピアイまでのバスはあるのか聞いてみたところ、乗り合いバンはあるらしいのです。しかしこれこそいつ出発できるか分からないようなのでやっぱり、いや、ここでタクシーを使うのもなんか悔しい。

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この写真は3年前のチャリ旅の時に撮ったもの。よく分からないけど道が水没してました。そこで泳ぐ子供。

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ビッシャビッシャ。何事かと思いきや、これ潮が満ちてたんです。雨季の満潮時はこんな状態のようです。

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ククップはおそらくはユーラシア大陸最南端の「町」に当たり(最南端の「村」はタンジュンピアイ村)、シーフードを安く美味しく食べられる場所として有名。宿もちょいちょいあります。安宿ドミもあったような。

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ここからインドネシアタンジュン・バライという島まで船で行くことが出来ます。

とりあえず懐かしいこのフェリーターミナルでスタッフに最南端までのことを尋ねると、どういうワケか話してるうちにその兄ちゃんと仲良くなっちゃって、

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バイクで連れてってくれちゃいました。


今回の旅も超強運っぷりが炸裂する予感だ、幸先がいいぜ。


それにしてもワクワクドキドキだなぁ〜

なぜって、




アイザンがいるかもしれないじゃん〜 ━━━━━━━<ユーラシア編>━━━



・・・・・ッ。



きゅん。が止まらない・・・


<おい、俺は心の中のもう一人のテメェだ。しっかりしろお前>



・・・くっ



<・・・>




・・・ぼく我慢できない。




<・・・おい>




・・・っぁああッ!!!




<・・・!>



美人、そして優しそう、というこれだけでも十分素晴らしい2重奏、そこへとてもイイ匂いがするという嬉しいソプラノ効果が功を奏し、更には積極的な姿勢からほんのり感じるSっ気の3重奏、そしてトドメの僕よりも年上という事実が発覚の4重奏というミラクル、美人で優しくてイイ匂いがした年上のSっ気なお姉さんという、これ以上無い完璧なフルオーケストラの開幕だぁッ。











<なんだそれお前>


僕の脳内フィルハーモニー楽団員さんたち<なんだそれってお前>が奏でる曲のタイトルは、

「サウンド・オブ・ラブ」<うわ気持ちわるッ>

サブタイトルは、「君に聴かせたい音がある」<だまれよ>
 
失礼致しました、変更させて頂きます、サブタイトルは、「君に聴かせる音」<たいして変化ねぇよ>

誠に申し訳ございません、サブタイトルは、「君を部屋に招きたい」とします。<どうしてそうなった>
「君と、したい事がある」<やめろお前>
 
皆様には不快な思いをさせてしまい心よりお詫び申し上げます、ごめッん〜。<心こもってねぇよ>

サブタイトルは、「君の音(ね)は。」に落ち着かせて頂きます。<うまいこと丸めたなお前>


 
<目を覚ませこのプー太郎が!!!>




・・・ッ!


おっと、まずい、最南端特攻作戦に集中だ。でもプー太郎は余計だぞ?正解だけど。




「あれよ。」


ゆっくりと10分ほど歩いただろうか、アイザンの一言。

 

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なるほど、そうか、こりゃ特攻もクソもない、完全に到達不可能だ。
あの先が最南端へと続いていたわけです。

その大破して完全に原型すら消え去った状態の橋の先に見たものは、

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残念でしたと言わんばかりにひっそりと静かにたたずむ孤高、最南端のモニュメント。

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崩壊した橋の横にはむなしく立ち尽くす嵐から生き残った、ここからの世界各地の距離計。




強めに唇を噛む。


 
悔しい。もちろん。でも、思いのほかスッキリできてる自分がいるのも事実。
それは絶対に不可能だという光景を実際に見ることが出来たからだ。

それもあるし、



キミが隣にいてくれたのも大きいかもしれない。
 
 
{ほらね、行けないでしょ?ごめんね?}
 
って感じの首を少し斜めに傾けた愛くるしい表情がまた、





 
きゅきゅん。

 


くそ、うっかりプロポーズしちゃいそう。ユーラシアの南の果てで婚約とかこれ以上無いシチュエーションですよね。


・・・いやいや、頼む。もうそれ以上俺を引きずり込まないでくれ、この大きな波のごとく。俺の頭の中は今、この目の前に広がる荒ぶる海と同じような状態だ。


死んだじいちゃんが言っていた。恋は盲目、そして夢の最大の敵なのじゃと。俺は旅を続けなきゃならない、なぜなら夢の一つだからだ。世界が俺を呼んでいる。さぁ、戻ろう。

アイザン、こんなワガママを聞いてくれて本当に、ありがとう、俺はもう、行かな・・・


「他にもウォーキングコースがあるけど、まだ歩きたい?」


Yes.

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アイザン。傘は僕のもの。使うまでもないほどの雨量、いやもはや降っていないに等しい霧雨だったが、「風邪引いちゃうぜ」なんて紳士さを必死にアピール。


このミュージアムは割りと広大で、マングローブの森の中を歩けるコースがいくつか存在する。
 
現在立ち入り禁止の施設内。
僕の脳内フィルハーモニーによるフルーオケストラが、荒ぶる海の大きな波とのセッションでより一層ゴージャスな曲となり脳内に流れ込む中、二人きり、ゆっくりと歩く。会話は途切れない。


ユーアービューティフル。


一つの展望ポイントへ辿り着きホッと一息付いて大海原を背に手すりにもたれ掛かり、遂に僕は抑えきれずに、禁断の言葉を発してしまうのだった。
 





くっやべっ・・・つい、、、







「You are also cool.(あなもカッコイイわ)」






(見つめ合う)







まじ?遂にオラのハンサムっぷりも海を越えてきたようだぞ!いやそれはいい。

・・・おいこれはちょっと、・・・え、うそ?まさかのチャリ旅初日で恋に落ちて終了?それもそれで面白すぎるけどね?いやいやどうするこれ。




ただいまぁ〜(サプライズ帰国)彼女できたぁ〜からの頭にスカーフ巻いたイスラム教の子登場で母ちゃん心臓発作かなこれ?

ところで結婚したら僕もイスラム教になるんですかね。名目上は仏教?だから改宗になるんですか?
それだとあれか、毎日何回かお祈りしなきゃいけないのか、それはちょっと面倒ですね。

あとあれか、年明けのおみくじもダメなんです?神社に参拝に行くのもアウト?
おみくじで友達と、お前毎年かならず大凶うぇーいって騒ぎたいんですけど。

まぁそれに替えてもアイザンは大切にしたいですよ、こんな短時間で僕を魅了してくる子ですから。



あれ?しかしちょっと待ってください。

イスラム教といえば、豚肉が食べられないんでしたっけ。
となると、・・・トンカツが食えない、だと?チキンカツで我慢なんですか?

ちなみに昔、チキンカツという言葉が出てこなくて、鳥のトンカツ食べたい!って言ったことあります。どっちやねん。

しゃぶしゃぶ温野菜での食べ放題コースでは皆が豚スライスにかぶりついてるのを眺めながら僕はつくねだけしゃぶってるんです?


そりゃねぇぞぉアッラーの神様ぁ。
目玉焼きとアルトバイエルンの組み合わせは我慢するので、それにチャーシュー抜きにしますから豚骨ベースのラーメンくらいは・・・。



ちなみにアルトバイエルンってどういう意味なんだ?と思ってググってたら、

アルトバイエルンシャウエッセンのどちらを買おうか迷っています。」

というYahoo!知恵袋での質問を発見。



この質問者さんって酔ってるんですよね?

これガチで聞いてんの?
でも律儀に回答する人多数。どっちも試してみるほど予算の余裕がないんですかね。。


安倍さん、見てます?アベノミクスどうなってるんです?こんな状態ですよ今の日本は。どっちのソーセージを買うべきかというほど国民は追い込まれてるんです。早くなんとかなりませんかね?
あとツイッターで僕のブログを紹介してくれません?してくれたら次回の選挙で投票しますから!


おっと、いやいや、豚肉が食えないなんて、それくらいなんてことはない。
人間は慣れる生き物さ。食えなきゃ食えないでいいんだよ。アイザン、君がいてくれれば・・・








「Do you have a girlfriend?(彼女はいるの?)」










・・・おい、いよいよだぞ。これガチだぞ、どうしよこれ。











いいえ、いないよ、き・・・きゅみ・・君は?













 「Yes, I have.(いるよ♪)」


<下巻>
へつづく

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