Bunkoh Style -WorldWide-

世界中の果て(先端)を命懸けで制圧しに行く大冒険ロマン

そして旅は始まった。〜旅に懸ける思い〜

 

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「try to discover myself -自分探し- 〜会うべき者〜」



前回

bunkohstyle.hatenablog.com




白いモヤの奥から現れたのは、紛れもなく、自分である。もう一人の。







腕を組み、うつむきながらこちらへ向かって来る。










まるで金縛りにかかったかのように、身体は動かない。










遂に、もう一人の自分は僕の目の前までやって来た。



顔を上げ、口を開いた。表情は険しい。






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・・・・・・。







・・・・・・・・・・。







短くて、しかしとてつもなく重いその一言は、と胸に響き渡る。






60歳を越えた、そして奇病にかかった母親を、また一人にする。






どうなんだこれ。







父親とは別れ、姉は結婚し家族を持ち別の場所に住んでいる。







誰か教えてくれ。




僕はもう、旅なんかに出てる場合じゃないのかな?







嘘だろ・・・?

もう旅ができないなんて。?考えられない。





世界はこれからなんだよ・・・いや、、、








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険しい表情のまま、そして半ば呆れたような表情を付け加え、もう一人の僕は言う。






・・・分かってる、それは分かってる・・・。。


世間の目なんてこれっぽっちも気にしてない。27歳、まだまだガンガン地球を遊び倒したい。




でも、いつだって心の中には、お母さんがいる。





オーストラリアへ行く時もそう。毎回「行っといで」とは言うけれども、きっと本当はもう落ち着いてほしいだろうし、独りが寂しいだろうし、何よりも心配だろう。




まだ僕が小さい頃には、朝から晩まで働いて食べさせてくれて、今までたくさん迷惑もかけた。




そんな母を、そして奇病を患った母を、また家に独り置いて、何年も遊びに行くと・・・?

期間を短くすればいい?日数の問題なのだろうか。







もう、今こそ、長男として恩返しとして?助けなきゃいけない時が来たのだろうか。

誰か教えてくれ。




目の前も、頭の中も、真っ白。






旅に出ずに日本で普通に生活をしている自分を必死に想像してみるが、明るいイメージは浮かんでこない。


その想像-現実-が今、目と鼻の先にまで迫ってきているのかもしれない。




・・・安定した仕事に就いたとして、まず心が安定するはずがない。



旅は今の自分にとって、必要なことだ。






必要。






・・・?







・・・必要?






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険しさは消え失せ、呆れた表情から真剣な眼差しにシフトし切り込んでくる、もう一人の、俺。



・・・?



なぜ必要か?




・・・必要かな・・・?なぜだろう。




心が安定しないから?




なぜ安定しないんだ。


やりたいからだろ、どうしても。



夢だから。



世界を見るのは夢の一つだから。いたってシンプル。
好奇心を全力で満たしに行く。こんなことは言うまでもない。全部ひっくるめて、

やりたいからやる。これに尽きる。特別な理由なんていらないだろ?





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長期の旅人が色んな意味で恐れる「帰国後」について真剣な表情のまま問う、もう一人の、己。



それはつまり、仕事はどうするのか、ということになってくるはず。
誰もが帰国後の仕事のことを考えるはず。


27歳。今まで数種類のバイトと、リングの上でぶん殴り合ってたくらいでいわゆる就職の経験は無い。

やりたい事を最優先してきた。
「今しかできないから」「明日死ぬかもしれないから」という便利な言葉を盾に。


それもそうだし、自分が何をしたいかが分からないからというのもある。

社会の目、親からの重圧を気にしたりでなんとなく就職すれば、そのままズルズルとなんとなくの人生で終わるのはある程度、目に見えるし。


だから探し続けてる。「旅」という今一番やりたい事の中の、大好きな舞台で。
旅はある意味、「就活」のようなもの。だから今、旅は必要なこと。



例え見つけられなかったとしても、世界をこの目で見るという一つの夢を実現できた上で、そして全力で何かを見つけようとした事実が自分の中にあるとするのなら、日本で普通に、特別好きでもない仕事でも、スッキリとした状態で臨めるような気がする。


旅せず行動せず、なんとなく職に就くのとではとんでもなく違う。だから今、旅は必要なこと。



必要。




・・・必要なんだよ。






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その透明な声により、白いモヤがサーーーーっと引いていく。
それと同時にもう一人の自分も姿を消した。



自分の家だ。そして目の前には母がいた。それはお母さんの声だった。表情は柔らかい。



「私のこと気にしてんの??」



・・・。



「アンタがいなくても大丈夫よ。指だってまだそこまで問題無いし。言わなきゃよかった?このこと。」

表情は柔らかいが、しかし言葉に力を感じられた。


「本当にやりたい事なら、気の済むまで行って来たら。私のせいでそれが出来なくなるなら、そっちの方が悲しいわ。ただし、絶対に危ないとこには行かないでね、それだけは約束ね!」


明るく、力強く、そう言った。


・・・いつか自分が親になって、もしもこのような状況になったとき、同じことが言えるだろうか。


これをいわゆる親不孝者と呼ぶんだろうな。



でも今、旅は絶対に必要なこと。





ごめん、行ってくるよ。


きっと、いや絶対に、この旅で「何か」を持って帰ってくるから。


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旅をする特別な理由なんて必要無い、とは書いたけれど、その通りなんだけど、単純に、色んな意味でもっと強くなりたいし自信をつけたい。人として成長したい、自分を変えたい。

一人でどこまでやれるのかを試したい、生きてることを感じたい、生きた証のようなものを残したい。


色んな期待をこの旅に詰め込んでいる。


それらをひっくるめて、そして特に求めている、自分のやりたいコト(仕事)を見つけること。

これらはすなわち、「自分というもの」を見つけたいということ。
強くなった自分、自信のついた自分、何か手応えを掴んだ自分、変化した自分。


見つけたい、だから探す。


つまり究極的には僕が旅に出る理由、それは旅の名目としてよく使用されるありふれた使い古された言葉。


「自分探し」


なんだ。旅の中で僕は全力で「自分」と向き合い、全力で「自分」を探す。全力で「自分」を知りに行く。


少し堅苦しく旅に懸ける思いと葛藤を書き連ねたけれど、「楽しむこと」これがやっぱり一番。なによりも重要。楽しんでこそ何かを得られるはず。



その旅する僕の心の模様を写した、自分の考えや思い、頭の中を可視化させエンタテインメント調にしたものが、一番始めに載せた「try to discover myself-自分探し-」という一つの作品。

自分とは?果たして自分を見つけることが出来るのか?というカタチで展開。赤い自分、黒い自分、モノクロの世界。その世界の説明は今はまだあえてしない。たくさん想像力を働かせて見てほしいから。

その想像したものは、貴方が考える思う自分探しであって、全部正解。




全力で自分を試したい、自分を知りたい、自分を見つけたい。

旅はこれらの欲求を満たすことのできる可能性を十二分に秘めている。


しかし、それを満たす為の行動は自分でするもの。
旅はその欲求に応える為に手を貸してくれるだけ。
それを上手く利用するかしないか、出来るかできないかは自分次第。



旅は今、これからの人生の為に、必要なこと。


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────────── 今年最大級と騒がれている台風。

もうとっくに暴風域には入っているはずだが、小雨がパラつく程度で気持ち悪いほど空は穏やかだった。


穏やかな空に対し、母の表情はやっぱり少し寂しげだ。

最寄りの駅まで見送られている。

 


旅を終えた頃には、この町もまた少し変わってるかね。

そんなことを話しながらゆっくりと、旅前最後の時間を二人歩く。



台風が来ようが駅前はいつものごとく賑やかだ。



「気をつけてね。」

そうひとこと言って、一万円札5枚を僕に握らせた。






ありがとう。


切符券売機の黒いモニターに反射していたのは、下唇を噛みしめ、涙をせき止めている自分だった。


ありがとう、ごめん。




オーストラリアへ行く前はこんなにも感情的にはならなかった。
やっぱり今回は前回とは少し、いやだいぶワケが違うからか。

オーストラリアよりも遥かに危険が多い国へも行くことになるだろう。
お母さんと喋ったのはこの日が最後でした。なんていうアホみたいな想像もしてしまう。
今回に限ったことではないけれど、また独り家に残すこと、そして手の病気のこと。色々。




ごめん。



行ってきます。




「たまにメール頂戴よ!」

微笑みながら言う。



そっちもなんかあったら教えてね。

改札を抜け人混みをかわし、ホームへ向かう。



一度別れたら後ろを振り向きたくないタイプなのだが、しかし今回はワケが違うのだ。
もういちど母さんの顔を見るか、見せておくか。

そう思い、ピタっと足を止め、振り返る。




目線の先には身体の小さな母が、微笑みながら手を振って、





いなかった。

もうそこにはいなかった。









引き返すのはっや!!!!うそん!!

確かにちょっと肌寒かったけどね。いや、アッサリかよ!
こういう場面て見える範囲でオラが電車に乗り込むまで待ってるパターンじゃないの!

マジか母!思わず吹き出した僕。





・・・いや、もしかしたら凄く悲しくなって、いてもたってもいられなくなったのかも。?
そんな姿は見せられないと思って、すぐに行ってしまったのかもしれない。


少し元気が出た束の間、そんな想像をしてまた寂しくなってきた。





しかし、それは違った。

ということが分かるまで、時間はかからなかった。


電車の扉が閉まりゆっくりと、生まれ育った町を離れていく。いつの間にか雨が強くなっていた。座席が空いていようが扉の横に立ち、ボーっと外を見るのが僕の乗車スタイルだ。

次にこの景色を見るときの自分は、どんな自分だろう?


雨が扉に打ち砕かれた水滴越しの薄暗い故郷を見ながら、そんな事を考えていた。





その時だった。









母が見えた。




お母さんがいた。



ベージュの雨合羽を着た、僕の分の傘を左手に持ち、自分の開いた傘を右手に、大きくその傘ごと手を振っている母親の姿を、ビル群を抜けた開けた場所で少し距離はあったが、見た。


母自体は僕が見ているかどうかも分からないようだ。僕が乗る車両が通り過ぎても手を振り続けていたから。


この為に、先回りする為に、すぐ行っちゃったのか!




なんて粋なお母さんだろう?

大好きだわ。

 


抜群の視力と動体視力が自慢の眼球は、しっかりと表情をも捉えた。








満面の笑みだった。








よし、一気にスイッチ入った。


全力で楽しむぜ、地球。暴れるぜ、世界。

全力で見つけるぞ、自分。


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ニヤっと、しかし目は鋭く、力強く言う、雨に濡れた真っ暗な電車の扉に映る、

紛れも無い自分自身を、見た。


Bunkohの世界旅、真夜中の台風の中、静かに始まる。